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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(57)」

「動物愛護とチーム獣医療の進展」
 6月に入り、現在開会中の通常国会の会期も、残すところ20日足らずとなりました。  その終盤国会では、焦点の一つである働き方改革関連法案など政府提出法案の審議が進められています。一方、国会議員の先生方の間では、議員立法による法案の検討作業も活発に進められています。  その一つが、動物愛護管理法の改正です。  この法律は平成24年の前回の改正の際に、同法の附則において、「この法律の施行後5年を目途として、(中略)その(マイクロチップ:MC)装着を義務付けることに向けて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」とされていたものであり、平成30年がその5年目に当たります。  その改正法案の具体化を図るため、与党内の関連する議員連盟のほか、与野党の超党派の議員連盟においても積極的に詰めの議論が行われています。  特に、犬と猫へのMCの装着及び登録の義務付けは、ほぼ改正法案の骨子が固まり、具体的な法案条文の作成段階になっていると聞いています。  同法案の中で、当面は、犬と猫のブリーダーやペットショップなどの業者を介した「販売ルート」と、動物愛護団体や都道府県の動物愛護センターなどを介した「譲渡ルート」から供給される犬と猫に、MCの装着と登録を義務付けることとされています。  それ以外の一般の飼い主が飼養する犬と猫へのMCの装着と登録については、当面は努力義務とし、今後国民への普及啓発を推進しながら、将来的には全ての犬と猫への装着等の義務化を目指すこととされています。  もう一つの議員立法案件は、「動物看護師法(仮称)」についての検討です。  本件は、既に昨年夏の与党のマニフェストに、「小動物の動物看護師の将来的な国家資格化又は免許制度の創設に向けた検討を行います。」と記載されていました。  現在、与党内の関係議員連盟で同法案作成のための議論が開始され、法案骨子の取りまとめ作業が急ピッチで進められています。  この案件は、本会が昭和62年に検討委員会を設置し、30年以上の長きにわたり動物看護師の在り方について検討を重ねて来たものです。  その結果、平成21年には一般社団法人日本動物看護職協会が設立され、また平成23年には動物看護師の認定主要5団体などが一つにまとまり、一般財団法人動物看護師統一認定機構が設立されました。  現在、動物看護師の公的資格化に向けた体制整備が進められており、認定動物看護師は2万人を超える規模となっています。  家庭飼育動物が家族の一員として国民生活における位置付けが向上する中で、より高度かつ多様な小動物獣医療を求める国民の期待に応えるためには、獣医師と動物看護師が連携したチーム獣医療が不可欠となっていることは申すまでもありません。  5月30日に開催された本会の平成30年度第1回理事会においても、このような国会の動きを注視しつつ、国民の期待に応えるべく積極的に活動し支援していくことが確認されています。  本メルマガの読者の皆様におかれても、わが国における動物愛護とチーム獣医療の進展により、家庭動物飼育による健康で豊かな人と動物の共生社会の構築に一層貢献できるよう、共に歩んで行かれることを期待しています。 平成30年6月5日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

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会長短信「春夏秋冬(25)」「新役員体制でのスタート」(平成27年8月19日)
会長短信「春夏秋冬(24)」「第72回通常総会を終え、二期目のスタートに思う」(平成27年7月23日)
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会長短信「春夏秋冬(21)」「All Japan Pet Expo in Tokyo及びインターペット -人とペットの豊かな暮らしフェア- に参加して」(平成27年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(20)」「獣医師として巣立つ卒業生の皆さんに対する期待」(平成27年3月16日)
会長短信「春夏秋冬(19)」「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」(平成27年2月25日)
会長短信「春夏秋冬(18)」「魅力ある組織の発展を期待 -新たな挑戦元年に-」(平成27年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(17)」「気持ちも新たに年を越します」(平成26年12月22日)
会長短信「春夏秋冬(16)」「日本医師会との連携シンポジウムを開催して」(平成26年11月14日)
会長短信「春夏秋冬(15)」「地区獣医師大会に出席して」(平成26年10月23日)
会長短信「春夏秋冬(14)」 「意識改革によって組織の整備・充実を」(平成26年9月25日)
会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
会長短信「春夏秋冬(12)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
会長短信「春夏秋冬(1)」 「本会の発展はスピードある対応と組織行動で」 (平成25年8月17日)
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