公益社団法人
日本獣医師会
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会長短信「春夏秋冬(7)」
「共に歩む日本獣医師会に期待を」
平成26年2月6日に大宮市で開催された埼玉県獣医師会公益社団法人移行記念講演会で、「獣医師会の目指すべき方向」と題して構成獣医師の皆様にお話をする機会がありました。皆様は私の講演を熱心に聞いていただき、ありがとうございました。その中で、「公益社団法人である日本獣医師会は、地方獣医師会及び構成獣医師が夫々の社会的責任を果たし、高度専門職能集団として責務を果たすべく、合意形成の下で指導的役割を推進しなければなりません。解決すべき優先課題は、常設委員会並びに新たに設置した特別委員会で組織的に検討し、工程表に基づいて迅速に結論を導くことが、獣医師会の歩む方向であります」とお話ししました。
「課題の解決に向けては、地方獣医師会と本会が一体となって、スピーディーに結論を見出すことを第一とし、また本会が公益社団法人であるという立場から、日本獣医師政治連盟を本会とは別組織とし、同政治連盟は北村直人先生に委員長をお願いし、本会の事業活動を支援するため車の両輪として歩んでいます。」、「さらに全国会長会議は広く意見交流の場として位置づけ、常設の会長には高橋三男埼玉県獣医師会長にお願いしました。詳細な推進経過は、日本獣医師会雑誌の第67巻第1号の新年のご挨拶で述べましたので、是非ご一読下さい」とお伝えしました。
「特に、緊急災害時の被災動物対策としてのマイクロチップの普及推進については、東日本大震災の被災動物救護活動において、動物の飼育者を確認する上で、このマイクロチップの重要性が再確認されました。」「また、平成24年に公布された動物の愛護と管理に関する法律の一部改正において、動物の所有者責任の強化の観点から、マイクロチップ装着の義務化に向けて必要な措置を講じることが明文化されました。さらに、平成25年に環境省が策定した災害時におけるペットの救護対策ガイドラインにおいても、ペットが迷子にならない対策として、マイクロチップ等による所有者の明示があり、家庭動物の個体識別の合理的方式としてのマイクロチップの普及推進の理解を図るものです。」
「次に人と動物の共通感染症対策の整備・充実に係る獣医師と医師の連携推進については、共通感染症に対する国民の関心が高まるとともに、これらの共通感染症の侵入と蔓延防止に係る社会的リスクを的確に対処するため、体制整備の重要性が指摘されています。」、「共通感染症の予防において、人と動物の生活環境やフードチェーンの川上に位置する動物の医療を受け持つ獣医師と、その川下に位置する人の医療を受け持つ医師が緊密な連携を保つことが重要であります。」、すでに会長短信「春夏秋冬(4)」でお伝えしましたが、「歴史上第一歩となる医師会との学術協定の成果は獣医師会のみならず、社会から大いに期待され、この日本医師会との連携は、学術的な活動の期待だけではなく、連携を通して本会の組織力や事業推進力の向上に、また広く獣医界全体のスキルアップに参考になります」と私の考えをお伝えしました。
「更に、女性獣医師の就業支援及びキャリアアップの推進については、近年、各年度の新規獣医師の半数を女性が占めている中で、女性獣医師が継続的に就業し、責任ある立場で潜在力を発揮し、幅の広い職域で活躍できるようにならなければなりません。近年、公務員獣医師職や産業動物獣医師職が不足すると言われる中、獣医師の職域や地域偏在を解決する上からも、女性獣医師が継続的に就業できる職場環境の整備を支援し、就業率の向上とキャリアアップを図ることは、獣医療提供体制の整備を促進する上で必要であります。」と、現在、本会が農林水産省の支援事業として全国調査をしていることをお話ししました。
この他、「現在、獣医師就業状況で大きな問題となっているのは、職域偏在と地域偏在の存在であり、これらを解決するには公務員獣医師の処遇改善が不可欠であります。家畜衛生や公衆衛生の現場で、防疫、保健衛生、食品衛生や環境衛生行政に従事している地方公務員獣医師が、一層責任と誇りを持って職務に専念できるように処遇改善を図る活動を展開しております。この課題は、私が福岡県獣医師会会長を務めてきた時代からのライフワークであり、全国の公務員獣医師が採用困難職種であることを解決できる大きなメリットがあります。」とお伝えしました。
最後に、「獣医師会の歩む方向は、日本獣医師会並びに会員各位の発展であり、構成獣医師の皆さまが誇れる環境の整備充実であり、更には国民が安全安心な生活を営める社会の構築であります。私は日本獣医師会会長として、全力で活動してまいりますので、よろしくご支援、ご協力をお願いいたします。」と結びました。
平成26年2月20日 日本獣医師会会長 藏内勇夫
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