公益社団法人
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会長短信「春夏秋冬(22)」
「中国獣医協会の皆様を迎え、有意義な意見交換」
平成27年5月13日、午後2時、中国獣医薬品検査所長で中国獣医協会副会長の才学鵬先生を団長とする「中国獣医協会」の皆様が、日本獣医師会を訪問されました。
意見交換会の席で、日獣を代表として歓迎の挨拶をいたしました。その中で、中国獣医協会と直接交流するのは今回が初めてですが、実は1992年から2002年まで日獣が実施した「国際獣医師育成研修事業」を通じて、日獣が中国と交流を行ってきたことをお話しました。それは、各国の獣医師会が将来を担う研修生を推薦し、1年間にわたり我が国の獣医学系大学や試験機関で研修し、研修後はそれぞれの母国で獣医療の発展や家畜衛生・公衆衛生の向上に貢献していただくことを目的とした事業でした。さらに、研修生は我が国に滞在中、社会や文化にも親しみ、母国と我が国の懸け橋になって頂くことを期待して計画された事業でした。10年間に14ヶ国から144名が研修に参加され、帰国後はそれぞれ母国で活躍されていることと確信しています。
当時の中国には獣医師会に相当する組織がなかったので、「中国畜牧獣医学会」が推薦母体となり、10年間に18名の研修生を推薦いただきました。今回の訪問団の中に1995年の研修生で、麻布大学で研修され、現在は北京農学院教授として活躍されている陳 武先生が参加しておられました。
陳先生は、日本語が堪能で、意見交換会では通訳もされ、正に日中両国の懸け橋になっていたことに、本事業の成果を垣間見ることができ、大変感激いたしました。
訪問の目的である意見交換は3時間にわたり、創立6年と非常に若い中国獣医協会の皆様は、活発に質問され、全てをこの場で吸収したい意気込みでした。主な質問は、日獣の役割と現状、主な活動や交流実績について、アジアの獣医学の発展に寄与する計画について、小動物や産業動物診療獣医師、公務員獣医師の主な業務の現状と将来について、会員構成と会費、日獣と地方会の関連や役割分担について、卒後継続教育や生涯教育の実態について、大学における質の高い獣医学教育を提供するための取り組みについて、動物保険制度の実態について、専門医制度と動物看護士制度について等、質問が広範にわたりかつより具体的事例を求めるものでした。
このように、中国訪問団の皆様は、我が国でも現在、課題となっている事項を含め、熱心に質問され、我々もできる限り詳細に説明し、公表されている資料をお渡しました。大変有意義な意見交換であり、日獣の活動を改めて自己検証する機会でもありました。
今回の交流を契機として、今後、中国獣医協会と日本獣医師会の交流が活発化し、学術連携を高め、協力関係を構築し、東アジアの獣医療、獣医学術、獣医学教育及び獣医師会活動の一層発展に寄与することが期待され、現実のものになることを確信しました。
平成27年5月22日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫
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