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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(59)」

「災害去って、学問の秋」
 今年の日本列島の夏は、まさしく異常気象であり温暖化現象と言って良いでしょう。  まず、6月29日、気象庁が関東甲信地方の梅雨明けを発表しました。この発表は、記録が残る昭和26年以降、関東地方では初めての6月の梅雨明けで、平年より22日も早いものでした。  その後は、各地で最高気温が30度を超える猛暑日が続いています。  一方、6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に集中豪雨に見舞われました。「平成30年7月豪雨」、いわゆる「西日本豪雨」で、7月6日から8日には、長崎県から岐阜県までの11府県で、大雨特別警報が発表されました。西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫、浸水被害や土砂災害が発生し、死者・安否不明者は230人に及び、昭和57年7月の長崎大水害以降、最悪の被害となりました。  改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々の早期復旧をご祈念申し上げます。  被害が大きかった広島県、岡山県及び愛媛県の獣医師会からの報告によれば、幸いに会員獣医師における人的被害はなかったと聞いています。  しかし、全壊・大規模半壊を含む自宅や診療施設への浸水被害は、3県で19会員と報告されています。また、被害を受けながらも、3県の動物病院による犬、猫など被災動物の預かり頭数は、80病院で275頭となっています。  このような被災地の獣医療提供体制の復旧と被災動物救護活動を支援するため、本会から7月11日付けで「平成30年西日本豪雨災害動物救護活動等支援金」の募集を全国の地方獣医師会会長に要請を行っています。  お陰様で、8月14日現在で179万円を超える支援金をお預かりしています。  被災獣医師会からの報告では、診療施設の再開と被災動物の保護活動は長期間に及ぶ見込みとされています。メルマガ読者の皆様方には、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。  さらに、こういった豪雨災害に追い打ちをかけるが如く、台風12号が関東・東海地方をかすめ、紀伊半島に上陸して西日本を西走するという異例のコースを辿りました。  折しも7月29日は兵庫県獣医師会の創立70周年記念式典が神戸市で開催され、私も日本獣医師会会長として祝辞を述べ、感謝状を贈呈する予定としていましたが、出席が叶いませんでした。  立田会長をはじめ兵庫県獣医師会の皆様方に深くお詫びを申し上げますとともに、急遽私の代理役をお務めいただいた玉井理事に感謝申し上げます。  その後も、台風15号が九州を横断し、17号台風も発生するなど、余談を許さない状況が続いていますので、気象警報などに注意され早めに避難等の対策を講じられるよう、切にお願いいたします。  一方、暦の上では立秋を迎えましたが、秋と言えば、食欲の秋、そして学問の秋です。  まず、8月28日から9月1日まで、札幌コンベンションセンターにおいて、「第30回世界牛病学会2018札幌」が開催されます。私も同学会に出席し、28日のオープニングセレモニーでご挨拶をする予定です。8月3日現在、参加登録者は1,452人、演題数は655題で、5日間にわたり盛大に開催されます。  また、9月11日から13日まで、つくば国際会議場において、「第161回日本獣医学会学術集会」が「One Health-人と動物の健康と共生」をテーマに開催されます。  これらに前後して、全国の地区獣医師大会が、9月2日の中部地区を皮切りに、9月9日に関東・東京地区と四国地区、9月26日に北海道地区、9月29日に中国地区、10月11日に東北地区、10月14日に近畿地区と九州地区で開催が予定されています。私も、副会長、専務理事、北村日本獣医師連盟委員長とともに可能な限り参加させていただく予定にしています。  各地で皆様にお会いできることを楽しみにしております。  また、本会でも関連事項を検討して参りましたが、動物愛護管理法の改正も秋の臨時国会で審議されることが期待されています。  皆様とともに学問の秋を満喫し、制度改正への対応をはじめ諸課題の解決に向けて、知識と鋭気を養って参りましょう。 平成30年8月20日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

会長短信「春夏秋冬(63)」「己亥は、十分な準備をして果敢にチャレンジし、発展する年」 (平成31年1月31日)
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会長短信「春夏秋冬(59)」「災害去って、学問の秋」 (平成30年8月20日)
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会長短信「春夏秋冬(50)」「目まぐるしく活動したひと月」 (平成29年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(49)」「日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代」 (平成29年10月3日)
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会長短信「春夏秋冬(43)」「県議と獣医師との二足のわらじで歩みます」 (平成29年2月22日)
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会長短信「春夏秋冬(41)」「私が選んだ2016年日獣10大ニュース」 (平成28年12月27日)
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会長短信「春夏秋冬(36)」「日本獣医師会によるアジア地域獣医師研修事業の再開」 (平成28年7月15日)
会長短信「春夏秋冬(35)」「外圧に屈せず一枚岩の団結で」 (平成28年6月24日)
会長短信「春夏秋冬(34)」「広域的な被災ペット救護支援」 (平成28年5月26日)
会長短信「春夏秋冬(33)」「災害に備える」(平成28年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(32)」「AMR アクションプラン」(平成28年3月23日)
会長短信「春夏秋冬(31)」「日本獣医師会獣医学術学会年次大会【秋田】開催迫る」(平成28年2月19日)
会長短信「春夏秋冬(30)」「第2回One Healthに関する国際会議の開催決定」(平成28年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(29)」「驚きのニュース」(平成27年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(28)」「医師と獣医師との連携による感染症の解明」(平成27年11月19日)
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会長短信「春夏秋冬(26)」「獣医師によるOne Healthの実践」(平成27年9月18日)
会長短信「春夏秋冬(25)」「新役員体制でのスタート」(平成27年8月19日)
会長短信「春夏秋冬(24)」「第72回通常総会を終え、二期目のスタートに思う」(平成27年7月23日)
会長短信「春夏秋冬(23)」「世界獣医師会と世界医師会の共催によるOne Health国際会議で講演」(平成27年6月19日)
会長短信「春夏秋冬(22)」「中国獣医協会の皆様を迎え、有意義な意見交換」(平成27年5月22日)
会長短信「春夏秋冬(21)」「All Japan Pet Expo in Tokyo及びインターペット -人とペットの豊かな暮らしフェア- に参加して」(平成27年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(20)」「獣医師として巣立つ卒業生の皆さんに対する期待」(平成27年3月16日)
会長短信「春夏秋冬(19)」「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」(平成27年2月25日)
会長短信「春夏秋冬(18)」「魅力ある組織の発展を期待 -新たな挑戦元年に-」(平成27年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(17)」「気持ちも新たに年を越します」(平成26年12月22日)
会長短信「春夏秋冬(16)」「日本医師会との連携シンポジウムを開催して」(平成26年11月14日)
会長短信「春夏秋冬(15)」「地区獣医師大会に出席して」(平成26年10月23日)
会長短信「春夏秋冬(14)」 「意識改革によって組織の整備・充実を」(平成26年9月25日)
会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
会長短信「春夏秋冬(12)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
会長短信「春夏秋冬(1)」 「本会の発展はスピードある対応と組織行動で」 (平成25年8月17日)
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