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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(36)」

「日本獣医師会によるアジア地域獣医師研修事業の再開」
 昨年10月の「春夏秋冬(27)」で、アジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議に出席するためにモンゴル国を訪問した際に、本会が平成14年度までの10年間実施した国際獣医師育成研修事業の修了獣医師達から大変な歓待を受けたことを報告しました。  モンゴル獣医師会の会長も研修修了者の一人であり、歓談する中で、是非とも研修事業を再開して欲しいとの要請を受けていました。  帰国後早速、日本中央競馬会畜産振興事業に応募していたところ、同会から本年3月末に平成28年度事業の採択候補とする旨の内示を得、4月には(公財)全国競馬・畜産振興会から「アジア地域臨床獣医師等総合研修事業」として正式に承認をいただきました。  本事業は当面、平成28年度を準備期間として平成29~30年度の2年間にFAVA加盟国から研修生を受け入れる予定です。  既に全国16の獣医学系大学に研修生受入の依頼文書を発出し、7月末には研修実施大学を決定したいと考えています。  各年度10名程度、2年間で合計20名程度の研修生を再び受け入れます。  ご承知のとおり、TPP協定交渉の大筋合意等により人・物双方の国際交流が飛躍的に拡大する中で、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等の越境性感染症がアジア各国で継続的に発生しており、我が国に侵入する危険性は常に高い状況となっています。  このため、本事業は、アジア諸国の研修修了獣医師が出身国において越境性感染症等に対する日本の防疫技術・防疫方針等を実践することにより、当該国における越境性感染症等の制御及び日本への侵入防止に貢献することを直接の目的としています。  このような周辺国における防疫体制の強化は、平成22年の宮崎県での口蹄疫発生のような悲劇を繰り返さないばかりでなく、1兆円を目指す日本農産物の輸出促進、2020年の東京オリンピック開催等の重要な国家的取組に多大なる障害となることを未然に防止することにもなります。  一方、私がモンゴル国で経験したように、研修修了者は帰国後に母国の大学教授、知事、獣医師会会長等の要職で活躍しており、しかも極めて親日的な人材となっておられます。  今後国際化が一層進展する中で、我が国が、OIE等の国際機関での国際基準策定等における国益の反映、アジア地域を始めとした世界各国への発言力の強化等を実現するためには、日本に対する理解者・支援者をアジア各国に養成していく必要があります。  本会が本事業を実施することにより、アジア各国との人脈と連携の構築を目指すとともに、全国の獣医学系大学の学生が国際感覚に優れた日本の若手獣医師として活躍されることにも貢献できるものと期待しています。  本事業の取組は、本年9月にベトナムで開催されるFAVA代表者会議、10月にパナマで開催されるWVA総会、そして11月に北九州市小倉で開催される「第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議」の場においても、我が国の国際貢献として世界に向けて発信することにしています。  全国の獣医学系大学におかれても、本事業の効果的な実施にご理解とご協力を賜りますようお願いするとともに、大学の国際化の一助としてもご活用いただければ幸いです。 平成28年7月15日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

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会長短信「春夏秋冬(61)」「獣医学術学会の充実と「生涯学習認定獣医師」称号の広告に向けて」 (平成30年11月2日)
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会長短信「春夏秋冬(55)」「平成30年度に向けた活動のスタート」 (平成30年3月30日)
会長短信「春夏秋冬(54)」「獣医学術学会年次大会【大分】の成功と、医師会との連携によるワンヘルスのアピール」 (平成30年2月28日)
会長短信「春夏秋冬(53)」「戊戌は「変化」の年」 (平成30年1月26日)
会長短信「春夏秋冬(52)」「獣医学教育の国際水準化と獣医師会活動の国際貢献に向けたスタート」 (平成29年12月28日)
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会長短信「春夏秋冬(50)」「目まぐるしく活動したひと月」 (平成29年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(49)」「日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代」 (平成29年10月3日)
会長短信「春夏秋冬(48)」「SFTS対応等による”One Health”の実践の強化に期待」 (平成29年8月22日)
会長短信「春夏秋冬(47)」「予測できない天変地異への万全の備え」 (平成29年7月31日)
会長短信「春夏秋冬(46)」「第74回通常総会を終え、課題多き三期目のスタートに思う」 (平成29年7月5日)
会長短信「春夏秋冬(45)」「平成29年度はアジアの獣医師が活躍する年に」 (平成29年4月19日)
会長短信「春夏秋冬(44)」「獣医学術学会年次大会【石川】の成功と、OIEとの連携への期待」 (平成29年3月31日)
会長短信「春夏秋冬(43)」「県議と獣医師との二足のわらじで歩みます」 (平成29年2月22日)
会長短信「春夏秋冬(42)」「獣医学部新設の検証なき矛盾だらけの決定に怒り」 (平成29年1月30日)
会長短信「春夏秋冬(41)」「私が選んだ2016年日獣10大ニュース」 (平成28年12月27日)
会長短信「春夏秋冬(40)」「“One Health”国際会議の成功を歓び、禍根を残す無責任な特区決定に憤りを」 (平成28年11月22日)
会長短信「春夏秋冬(38)」「諸事の繋がりを大切に」 (平成28年9月30日)
会長短信「春夏秋冬(37)」「AIPO活動の再開への期待」 (平成28年8月29日)
会長短信「春夏秋冬(36)」「日本獣医師会によるアジア地域獣医師研修事業の再開」 (平成28年7月15日)
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会長短信「春夏秋冬(34)」「広域的な被災ペット救護支援」 (平成28年5月26日)
会長短信「春夏秋冬(33)」「災害に備える」(平成28年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(32)」「AMR アクションプラン」(平成28年3月23日)
会長短信「春夏秋冬(31)」「日本獣医師会獣医学術学会年次大会【秋田】開催迫る」(平成28年2月19日)
会長短信「春夏秋冬(30)」「第2回One Healthに関する国際会議の開催決定」(平成28年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(29)」「驚きのニュース」(平成27年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(28)」「医師と獣医師との連携による感染症の解明」(平成27年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(27)」「獣医師一人一人との繋がりこそ力(チカラ)」(平成27年10月16日)
会長短信「春夏秋冬(26)」「獣医師によるOne Healthの実践」(平成27年9月18日)
会長短信「春夏秋冬(25)」「新役員体制でのスタート」(平成27年8月19日)
会長短信「春夏秋冬(24)」「第72回通常総会を終え、二期目のスタートに思う」(平成27年7月23日)
会長短信「春夏秋冬(23)」「世界獣医師会と世界医師会の共催によるOne Health国際会議で講演」(平成27年6月19日)
会長短信「春夏秋冬(22)」「中国獣医協会の皆様を迎え、有意義な意見交換」(平成27年5月22日)
会長短信「春夏秋冬(21)」「All Japan Pet Expo in Tokyo及びインターペット -人とペットの豊かな暮らしフェア- に参加して」(平成27年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(20)」「獣医師として巣立つ卒業生の皆さんに対する期待」(平成27年3月16日)
会長短信「春夏秋冬(19)」「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」(平成27年2月25日)
会長短信「春夏秋冬(18)」「魅力ある組織の発展を期待 -新たな挑戦元年に-」(平成27年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(17)」「気持ちも新たに年を越します」(平成26年12月22日)
会長短信「春夏秋冬(16)」「日本医師会との連携シンポジウムを開催して」(平成26年11月14日)
会長短信「春夏秋冬(15)」「地区獣医師大会に出席して」(平成26年10月23日)
会長短信「春夏秋冬(14)」 「意識改革によって組織の整備・充実を」(平成26年9月25日)
会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
会長短信「春夏秋冬(12)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
会長短信「春夏秋冬(1)」 「本会の発展はスピードある対応と組織行動で」 (平成25年8月17日)
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