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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(41)」

「私が選んだ2016年日獣10大ニュース」
 2016年も残すところ僅かとなりました。  日本獣医師会における本年の主な活動10件を選んで振り返ってみました。 その① 2月26~28日、平成27年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会【秋田】が開催され、参加登録者数1,400人、一般市民も含めた参加総数は2,300人、歓迎交流会にも800人が参加し、各会場で熱心に議論され大成功を収めました。 歓迎交流会には、佐竹秋田県知事、穂積秋田市長ほか多数の要人もご出席され、大変喜んでいただきました。 その② 4月5日、政府の「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」が「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020」を決定・公表しました。 これに先立つ3月20日には、厚生労働省主催、本会等が共催する「人と動物の一つの衛生を目指すシンポジウムについて-人獣共通感染症と薬剤耐性菌-」が開催され、塩崎厚生労働大臣とともに私もご挨拶を行いましたが、これが本会の本年における一連のワンヘルス活動の契機となりました。このAMR対策については獣医師の果たす役割に大きな期待が寄せられています。 その③ 4月14日と16日、震度7という九州では観測史上最大規模の強い地震が熊本県を襲いました。当時、私は熊本県に隣接する大分県九重飯田高原に宿泊していましたが、屋内は恐ろしくて車中泊を余儀なくされました。本会は直ちに「熊本大震災救援緊急対策本部」を設置し、義援金募集、VMATを始めとした人的支援、被災動物の一時預かり等の支援を行ってきました。 お陰様で義援金は3千9百万円超、熊本県獣医師会への直接支援を含めると総額は5千万円になりました。会員地方獣医師会及び構成獣医師の皆様のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。 その④ 7月21日、動物ID普及推進会議(AIPO)の幹事会が3年半ぶりに開催されました。 その目的は、平成30年に改正が予定されている動物愛護管理法において、犬・猫にマイクロチップ(MC)装着の義務付け、登録情報の管理体制の一元化等の規定を実現することです。 AIPO幹事会は幹事長が欠員のため、私は幹事長代理として、引き続きAIPO構成4団体の連携の下にMC装着による動物個体識別の普及・推進に取り組んでいくことになりました。 また、このほかに、4月25日にはMCの関係団体・企業等で構成されるISO規格動物用電子タグ協議会、6月3日には第2回MC普及推進特別委員会が開催される等、着実な進展が見られました。 その⑤ 8月26日、第1回アジア地域臨床獣医師等総合研修事業検討委員会が開催されました。この事業は、昨年9月に私がアジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議に出席するためにモンゴル国を訪問した際に各国から再開を強く要請されていたもので、日本中央競馬会等の助成を得て平成29年度から研修生の受入れが開始されるものです。 予算上の研修生定員は10名ですが、既に12か国から23名の応募がなされており、本研修に対するFAVA各国の期待の大きさを表すものです。 その⑥ 9月26日、本会は財務大臣から「熊本地震ペット救援センターの施設改修・整備の費用」について、特定寄付金及び指定寄付金に関する指定を受けました。 本指定は、法人による寄付金は全額損金算入が認められるというもので、国宝の修復、赤い羽根募金など極めて公益性の高いものに限定して認められる特別な制度です。 熊本地震による被災ペットの一時預かり後は、私の念願であった「九州災害時動物救援センター」として、九州地区の広域的な被災動物の保護及び被災飼い主の支援施設として活用する予定です。 既に多くの会員構成獣医師、民間団体・企業等から多額の寄付金が寄せられており、深く感謝申し上げますとともに、引き続きご支援を賜りますようお願いいたします。 その⑦ 11月8日、全国55の会員地方獣医師会の全てが地方医師会と学術連携協定の締結を完了しました。平成25年11月20日に本会と日本医師会が協定を締結して以降、僅か3年足らずでの快挙となりました。 地方獣医師会及び構成獣医師の皆様方の多大な困難を乗り越えてのご尽力に、改めて敬意を表します。今後はこの世界的に類を見ない全国的なネットワークを活用し、ワンヘルスの実践を推進してまいります。 その⑧ その翌日の11月9日に開催された国家戦略特区諮問会議において、我が国獣医学教育の国際水準達成に向けた教育改革に全く逆行するとして強く反対してきた獣医学部の新設が一方的に決定されました。 18日に開始された文科省告示の改正に関するパブリックコメント募集に対しては、構成獣医師をはじめ関係者から合計983件の意見が寄せられ、うち反対意見が83%に上り、政府に対して強い意思表示を行うことができました。 皆様のご協力に感謝申し上げます。ただし、これからが本格的な戦いです。 新年早々どのような内閣府等の対応が示されるのか、しっかりと監視し、継続的な活動を行っていく必要があります。 その⑨ 11月10・11日の両日、本年最も大きい仕事として、第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議が福岡県北九州市で、秋篠宮同妃両殿下をお迎えし開催されました。地方獣医師会、構成獣医師、関係団体・企業等多くの方々からの絶大なるご支援とご協力をいただき、お陰様で31カ国から639名の参加者を得て大成功との評価をいただきました。 2日目の最後には、「福岡宣言」を主催4団体で採択・調印し、”One Health”の実践に関する医師と獣医師の連携活動の推進を、福岡の地から世界に向けて発信しました。 その⑩ 翌11月12日には第10回2016動物感謝デーが北九州市との共催、福岡県との連携の下に初めて東京以外の地で開催されましたが、延べ2万4千人の来場者を得て大盛況でした。ご後援いただいた国、地方公共団体、関係団体等の方々、出店、展示、ご寄付等ご協力を賜った関係企業・団体の方々には重ねて感謝申し上げます。  以上、2016年における本会関係の十大ニュースを取り上げてみましたが、地方獣医師会、構成獣医師をはじめ沢山の関係者の多大なるご支援により、多くの成果を上げることができました。  一方、今後も継続的に取り組んでいかなければならない課題も沢山あります。  本年最後の会長短信としては少々長くなりましたが、大いに活躍した1年であったこととしてご理解いただければ幸いです。  この1年、ご愛読いただいた読者の皆様に感謝いたしますとともに、素晴らしい新年を迎えられますことをご祈念申し上げます。 平成28年12月27日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

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会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
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会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
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