公益社団法人日本獣医師会

  • 日本獣医師会とは
  • 獣医師のみなさま

会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(49)」

「日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代」
 私は、第39回アジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議、2017年世界獣医師会(WVA)総会及び第33回世界獣医学大会(WVC)に出席するため、酒井副会長、境専務理事、古賀事務局長及び福田職員とともに韓国仁川広域市を訪問しました。   まず、8月26日にFAVA代表者会議が開催されました。  同会議における活動報告の中で、私からは、昨年11月に北九州市小倉で開催した第2回世界獣医師会-世界医師会“One Health”に関する国際会議が、31カ国から639名の参加者を得て成功裏に開催され、また、「福岡宣言」を採択し公表できたことを報告するとともに、各国からの支援に対し感謝の言葉を述べました。 また、会議の中では、本会が今年度から再開した「アジア地域臨床獣医師等総合研修事業」の概要を説明するとともに、平成30年度研修生の募集案内を行いました。  本事業については、各国の代表者から感謝する旨の意見が寄せられ、また本年度参加していないミャンマーからも参加が可能かとの照会がありました。  本会議においては、FAVA各国の日本に対する期待の大きさを改めて実感いたしました。  8月28日には、2017年WVA総会が開催されました。  世界医師会(WMA)を代表してWMA次期会長である横倉義武日本医師会会長が、また、国際獣疫事務局(OIE)を代表して石橋朋子シニア・マネージャーが挨拶されるなど、WVAにおいても日本の存在を強く感じました。  総会の最後にはWVA会長などの選挙結果として、会長は米国のレネ・カールソン氏から台湾のジョンソン・チャン氏に交代し、次期会長にはカナダのパトリシア・ターナー氏が選出されたことが発表されました。  総会において注目した事案は、政策委員会活動の中で、「国際的獣医療の第1日目の能力(Day-One Competences)に対するWVAの見解」が報告された点でした。 即ち、大学新卒の獣医師は、第1日目から適切な獣医療を提供できる知識、技術、実践経験及び専門能力を有していなければならない。獣医学教育機関はそのような教育を行っていることの評価を受けるべきとされていることでした。  日本においては、現在、北海道大学と帯広畜産大学による共同獣医学課程、及び山口大学と鹿児島大学による共同獣医学部が国際的評価の申請を検討している段階にありますが、日本の獣医学系大学における獣医臨床などの実務教育の遅れを再認識した事案でした。  国家戦略特区による獣医学部の新設が議論されている現在、このような獣医学教育に関する国際的な動向を十分に踏まえた議論と早急な対応が必要であることを痛感しました。  第33回世界獣医学大会は、8月27日から31日まで79カ国から5,117名の参加者を得て、大成功のうちに開催されました。28日の開会式には、前国連事務総長の潘基文氏による基調講演が行われ、歓迎レセプションには仁川広域市と姉妹都市である北九州市の北橋健治市長が挨拶されるなど、アジアの底力を披露する舞台となりました。同日の昼には、私と韓国のキム・オッキョン氏、台湾のデービッド・チェン氏の3カ国の獣医師会長に、WVA新会長のジョンソン・チャン氏が加わって協議を行った結果、東アジア3カ国における獣医学術交流に関する協定の締結に向けて検討を行うことが合意されました。  いよいよ日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代が到来したと実感した韓国訪問となりました。 平成29年10月3日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

会長短信「春夏秋冬(63)」「己亥は、十分な準備をして果敢にチャレンジし、発展する年」 (平成31年1月31日)
会長短信「春夏秋冬(62)」「日本獣医師会創立70周年記念行事、盛大に開催」 (平成30年12月28日)
会長短信「春夏秋冬(61)」「獣医学術学会の充実と「生涯学習認定獣医師」称号の広告に向けて」 (平成30年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(60)」「第30回世界牛病学会2018札幌、大成功を収める」 (平成30年9月28日)
会長短信「春夏秋冬(59)」「災害去って、学問の秋」 (平成30年8月20日)
会長短信「春夏秋冬(58)」「第75回通常総会における事業承認を踏まえた獣医師の主体的役割」 (平成30年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(57)」「動物愛護とチーム獣医療の進展」 (平成30年6月5日)
会長短信「春夏秋冬(56)」「「認定VMAT講習会」の共同開催を推進します」 (平成30年4月27日)
会長短信「春夏秋冬(55)」「平成30年度に向けた活動のスタート」 (平成30年3月30日)
会長短信「春夏秋冬(54)」「獣医学術学会年次大会【大分】の成功と、医師会との連携によるワンヘルスのアピール」 (平成30年2月28日)
会長短信「春夏秋冬(53)」「戊戌は「変化」の年」 (平成30年1月26日)
会長短信「春夏秋冬(52)」「獣医学教育の国際水準化と獣医師会活動の国際貢献に向けたスタート」 (平成29年12月28日)
会長短信「春夏秋冬(51)」「平成30年度に向けた政策要請」 (平成29年12月6日)
会長短信「春夏秋冬(50)」「目まぐるしく活動したひと月」 (平成29年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(49)」「日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代」 (平成29年10月3日)
会長短信「春夏秋冬(48)」「SFTS対応等による”One Health”の実践の強化に期待」 (平成29年8月22日)
会長短信「春夏秋冬(47)」「予測できない天変地異への万全の備え」 (平成29年7月31日)
会長短信「春夏秋冬(46)」「第74回通常総会を終え、課題多き三期目のスタートに思う」 (平成29年7月5日)
会長短信「春夏秋冬(45)」「平成29年度はアジアの獣医師が活躍する年に」 (平成29年4月19日)
会長短信「春夏秋冬(44)」「獣医学術学会年次大会【石川】の成功と、OIEとの連携への期待」 (平成29年3月31日)
会長短信「春夏秋冬(43)」「県議と獣医師との二足のわらじで歩みます」 (平成29年2月22日)
会長短信「春夏秋冬(42)」「獣医学部新設の検証なき矛盾だらけの決定に怒り」 (平成29年1月30日)
会長短信「春夏秋冬(41)」「私が選んだ2016年日獣10大ニュース」 (平成28年12月27日)
会長短信「春夏秋冬(40)」「“One Health”国際会議の成功を歓び、禍根を残す無責任な特区決定に憤りを」 (平成28年11月22日)
会長短信「春夏秋冬(38)」「諸事の繋がりを大切に」 (平成28年9月30日)
会長短信「春夏秋冬(37)」「AIPO活動の再開への期待」 (平成28年8月29日)
会長短信「春夏秋冬(36)」「日本獣医師会によるアジア地域獣医師研修事業の再開」 (平成28年7月15日)
会長短信「春夏秋冬(35)」「外圧に屈せず一枚岩の団結で」 (平成28年6月24日)
会長短信「春夏秋冬(34)」「広域的な被災ペット救護支援」 (平成28年5月26日)
会長短信「春夏秋冬(33)」「災害に備える」(平成28年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(32)」「AMR アクションプラン」(平成28年3月23日)
会長短信「春夏秋冬(31)」「日本獣医師会獣医学術学会年次大会【秋田】開催迫る」(平成28年2月19日)
会長短信「春夏秋冬(30)」「第2回One Healthに関する国際会議の開催決定」(平成28年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(29)」「驚きのニュース」(平成27年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(28)」「医師と獣医師との連携による感染症の解明」(平成27年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(27)」「獣医師一人一人との繋がりこそ力(チカラ)」(平成27年10月16日)
会長短信「春夏秋冬(26)」「獣医師によるOne Healthの実践」(平成27年9月18日)
会長短信「春夏秋冬(25)」「新役員体制でのスタート」(平成27年8月19日)
会長短信「春夏秋冬(24)」「第72回通常総会を終え、二期目のスタートに思う」(平成27年7月23日)
会長短信「春夏秋冬(23)」「世界獣医師会と世界医師会の共催によるOne Health国際会議で講演」(平成27年6月19日)
会長短信「春夏秋冬(22)」「中国獣医協会の皆様を迎え、有意義な意見交換」(平成27年5月22日)
会長短信「春夏秋冬(21)」「All Japan Pet Expo in Tokyo及びインターペット -人とペットの豊かな暮らしフェア- に参加して」(平成27年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(20)」「獣医師として巣立つ卒業生の皆さんに対する期待」(平成27年3月16日)
会長短信「春夏秋冬(19)」「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」(平成27年2月25日)
会長短信「春夏秋冬(18)」「魅力ある組織の発展を期待 -新たな挑戦元年に-」(平成27年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(17)」「気持ちも新たに年を越します」(平成26年12月22日)
会長短信「春夏秋冬(16)」「日本医師会との連携シンポジウムを開催して」(平成26年11月14日)
会長短信「春夏秋冬(15)」「地区獣医師大会に出席して」(平成26年10月23日)
会長短信「春夏秋冬(14)」 「意識改革によって組織の整備・充実を」(平成26年9月25日)
会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
会長短信「春夏秋冬(12)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
会長短信「春夏秋冬(1)」 「本会の発展はスピードある対応と組織行動で」 (平成25年8月17日)
日本獣医師会とは