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会長短信「春夏秋冬」

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会長短信「春夏秋冬(28)」
「医師と獣医師との連携による感染症の解明」
 11月6日、日本医師会・日本獣医師会による第3回連携シンポジウム「越境性感染症の現状と課題」が、日本医師会館大講堂をお借りして開催されました。
 シンポジウムには、関東地方を中心に北海道から九州までの会員獣医師をはじめ、獣医学系・看護職関係等の教育機関、国・地方の行政・研究機関、関係団体・学会等から500名近くの参加者を得ました。ご参加いただいた方々に改めて感謝申し上げます。
 シンポジウムでは、日本医師会の小森常任理事から基調講演をいただいた後、国立感染症研究所の松山室長から中東呼吸器症候群(MERS)について、山口大学の前田教授から重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、国立感染症研究所の西條部長からエボラ出血熱とSFTSについて、流行の現状、原因解明の取組、対策等に関する講演と質疑応答が行われました。
 印象に残ったことは、世界中に生息する5,416種もの野生動物が保有している病原体がブラックボックスとなっており、その中から人への感染症が発生すること、そして、感染症を知るためには動物由来感染症を知る必要があり、まさにOne World One Healthの取組でした。
 現に、MERSはラクダから、SFTSは動物に介在してダニから、エボラ出血熱はコウモリ・サルから、それぞれ人に感染しており、近年の新興・再興感染症は動物由来であるということでした。また、新興・再興感染症は、外国で発生し日本に侵入して来る越境性感染症と考えていましたが、SFTSはそうではないことも驚きでした。
 西日本の医療機関で原因究明できなかった死亡患者について、医師からの依頼を受けて山口大学、東京農工大学と国立感染症研究所の獣医師が連携してウイルス分離・同定及び遺伝子解析を行い、SFTSと診断されました。
 しかも、日本で分離されたウイルスは中国で分離されていたものとは遺伝的に大きく異なっていることから、SFTSウイルスは以前より国内に存在していたことが明らかになりました。
 日本における患者数は2014年には61名、致死率は約25%であり、本ウイルスは自然界に存在し続けることから、私たちはSFTSに罹患するリスクから逃れることはできず、予防法や治療法の開発が急務です。
 一方、先月は大変嬉しいニュースが有りました。
 北里大学特別栄誉教授の大村智先生が本年のノーベル医学生理学賞を受賞されるという知らせです。受賞される研究成果は、イベルメクチンの発見・開発であり、人のオンコセルカ症の治療薬としてばかりでなく、イヌのフィラリア症をはじめ多くの寄生虫症などの治療薬として獣医療の分野でも多大なる恩恵を受けています。
  実は、平成22年1月に宮崎で開催された平成21年度日本獣医師会学会年次大会において、大村先生には「抗寄生虫抗生物質Avermectinの発見とその後の展開」と題して特別教育講演を頂戴していました。
  その講演の中でもご紹介されましたが、イベルメクチンは1983年以降長年にわたり世界の動物薬売上げの第一位を維持してきたばかりでなく、極めて異例なのは動物用医薬品から人用医薬品の開発に繋がったということです。
  これも、医学と獣医学の密接な連携の成果と言えるでしょう。
 私は、第3回連携シンポジウムの挨拶でも申し上げましたが、47都道府県全てにおいて、人獣共通感染症から人と動物の健康を守る組織を立ち上げたいと考えています。
  このような取組こそ、新興・再興感染症の発生防止や、東日本大震災などの災害発生時の緊急対応においても、人と動物の命を守るという医師と獣医師の連携活動が実践され、国民の信頼を得ることに繋がるものと確信しています。

平成27年11月19日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

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