公益社団法人日本獣医師会

  • 日本獣医師会とは
  • 獣医師のみなさま

会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(44)」

「獣医学術学会年次大会【石川】の成功と、OIEとの連携への期待」
 JR金沢駅の改札を出ると、もてなしドームの端にドンと構える鼓門が我々を迎えてくれました。 平成29年2月24日(金)~26日(日)に石川県金沢市で開催された平成28年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会【石川】は、参加登録者数1,605人、一般市民を含めた参加総数は約2,000人と大成功を収めました。  2日目に開催された歓迎交流会は約800人の参加を得て大盛況で、谷本正憲石川県知事や山野之義金沢市長にも大変喜んでいただき、お二人とも交流会の終了までご参加いただきました。  これも、開催県の公益社団法人石川県獣医師会の八木幸隆会長はじめ役職員及び会員の皆様方、全国の地方獣医師会及び構成獣医師の皆様方の多大なるご尽力とご協力の賜であり、改めて感謝申し上げます。  この石川大会では、第5回目となる日本獣医師会-日本医師会連携シンポジウム「インフルエンザを考える」を開催しました。  獣医師側からは北海道大学の喜田宏先生、医師側からは岡山労災病院の森島恒雄先生にご講演いただきましたが、今冬は全国的に高病原性鳥インフルエンザが多発していることもあり、越境性感染症・人と動物の共通感染症への対応について関心を集めました。  私は市民公開シンポジウム「熊本地震における獣医師の支援活動」の一環として、「九州災害時動物救援センターの構想から実践へ」と題して講演を行いました。  その中で、私の獣医師会での活動の原点は動物愛護活動であること、獣医師会は「動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。」を活動の理念としていること等を基盤に、阪神淡路大震災、東日本大震災等における被災動物の救護・保護活動を実施してきたことを紹介しました。  そして昨年4月に発生した熊本地震においては、被災者が飼育する犬・猫の長期一時預かりが必要となったことから、急遽「九州災害時動物救援センター」を「熊本地震ペット救援センター」として1年前倒しして整備し、被災動物の収容を開始した経緯等について説明しました。  なお、「熊本地震ペット救援センター」の施設改修・整備の費用については、財務大臣から指定寄附金制度の対象に指定していただき、本年3月25日までの半年間ご寄附をお願いしてきましたが、お陰様で合計1億5千万円を超えるご寄附を頂戴いたしました。  ご支援を賜りました多くの方々、団体・企業の皆様方に心より感謝申し上げます。  3月21日には、フランスのパリに本部を置く国際獣疫事務局(OIE)のモニーク・エロワ事務局長が本会を訪問され、意見交換を行いました。  エロワ事務局長からは、昨年10月にOIEが行った獣医組織能力(PVS)評価において、日本は世界的に最高水準にあるとの高い評価を受けました。  特に、医師と獣医師との連携、地方公務員を含む獣医師の教育・訓練、獣医療補助職との連携、薬剤耐性(AMR)対策、開発途上国への支援等の重要性と、日本への期待が述べられました。  また、24日には、エロワ事務局長の来日を記念して開催されたシンポジウム「OIEの活動と日本」において、私は「我が国の獣医師・獣医学教育の現状と課題」と題して講演を行いました。  この中で、日本獣医師会は、一貫して我が国の獣医学教育の国際水準化を目指して尽力してきたこと、獣医師会と医師会との連携体制を全国で構築したこと、第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議で採択された「福岡宣言」に基づき獣医師と医師との密接な連携の下に”One Health”の実践に向けて  尽力していくこと等を紹介しました。  いよいよ来週からは平成29年度がスタートします。  平成28年度において皆様方とともに行動し勝ち取った多くの成果を基盤として、狂犬病予防体制の整備、医師会との連携強化、薬剤耐性(AMR)対策等の”One Health”の実践のほか、マイクロチップの普及推進、家庭動物飼育の健全化、災害時動物救援対策等多くの課題の解決・進展に向けて尽力して参ります。  皆様方におかれましても、素晴らしい新年度を迎えられますようご祈念申し上げ、平成28年度最後の会長短信といたします。 平成29年3月31日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

バックナンバー

会長短信「春夏秋冬(63)」「己亥は、十分な準備をして果敢にチャレンジし、発展する年」 (平成31年1月31日)
会長短信「春夏秋冬(62)」「日本獣医師会創立70周年記念行事、盛大に開催」 (平成30年12月28日)
会長短信「春夏秋冬(61)」「獣医学術学会の充実と「生涯学習認定獣医師」称号の広告に向けて」 (平成30年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(60)」「第30回世界牛病学会2018札幌、大成功を収める」 (平成30年9月28日)
会長短信「春夏秋冬(59)」「災害去って、学問の秋」 (平成30年8月20日)
会長短信「春夏秋冬(58)」「第75回通常総会における事業承認を踏まえた獣医師の主体的役割」 (平成30年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(57)」「動物愛護とチーム獣医療の進展」 (平成30年6月5日)
会長短信「春夏秋冬(56)」「「認定VMAT講習会」の共同開催を推進します」 (平成30年4月27日)
会長短信「春夏秋冬(55)」「平成30年度に向けた活動のスタート」 (平成30年3月30日)
会長短信「春夏秋冬(54)」「獣医学術学会年次大会【大分】の成功と、医師会との連携によるワンヘルスのアピール」 (平成30年2月28日)
会長短信「春夏秋冬(53)」「戊戌は「変化」の年」 (平成30年1月26日)
会長短信「春夏秋冬(52)」「獣医学教育の国際水準化と獣医師会活動の国際貢献に向けたスタート」 (平成29年12月28日)
会長短信「春夏秋冬(51)」「平成30年度に向けた政策要請」 (平成29年12月6日)
会長短信「春夏秋冬(50)」「目まぐるしく活動したひと月」 (平成29年11月2日)
会長短信「春夏秋冬(49)」「日本及びアジアが世界の獣医師活動をリードする時代」 (平成29年10月3日)
会長短信「春夏秋冬(48)」「SFTS対応等による”One Health”の実践の強化に期待」 (平成29年8月22日)
会長短信「春夏秋冬(47)」「予測できない天変地異への万全の備え」 (平成29年7月31日)
会長短信「春夏秋冬(46)」「第74回通常総会を終え、課題多き三期目のスタートに思う」 (平成29年7月5日)
会長短信「春夏秋冬(45)」「平成29年度はアジアの獣医師が活躍する年に」 (平成29年4月19日)
会長短信「春夏秋冬(44)」「獣医学術学会年次大会【石川】の成功と、OIEとの連携への期待」 (平成29年3月31日)
会長短信「春夏秋冬(43)」「県議と獣医師との二足のわらじで歩みます」 (平成29年2月22日)
会長短信「春夏秋冬(42)」「獣医学部新設の検証なき矛盾だらけの決定に怒り」 (平成29年1月30日)
会長短信「春夏秋冬(41)」「私が選んだ2016年日獣10大ニュース」 (平成28年12月27日)
会長短信「春夏秋冬(40)」「“One Health”国際会議の成功を歓び、禍根を残す無責任な特区決定に憤りを」 (平成28年11月22日)
会長短信「春夏秋冬(38)」「諸事の繋がりを大切に」 (平成28年9月30日)
会長短信「春夏秋冬(37)」「AIPO活動の再開への期待」 (平成28年8月29日)
会長短信「春夏秋冬(36)」「日本獣医師会によるアジア地域獣医師研修事業の再開」 (平成28年7月15日)
会長短信「春夏秋冬(35)」「外圧に屈せず一枚岩の団結で」 (平成28年6月24日)
会長短信「春夏秋冬(34)」「広域的な被災ペット救護支援」 (平成28年5月26日)
会長短信「春夏秋冬(33)」「災害に備える」(平成28年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(32)」「AMR アクションプラン」(平成28年3月23日)
会長短信「春夏秋冬(31)」「日本獣医師会獣医学術学会年次大会【秋田】開催迫る」(平成28年2月19日)
会長短信「春夏秋冬(30)」「第2回One Healthに関する国際会議の開催決定」(平成28年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(29)」「驚きのニュース」(平成27年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(28)」「医師と獣医師との連携による感染症の解明」(平成27年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(27)」「獣医師一人一人との繋がりこそ力(チカラ)」(平成27年10月16日)
会長短信「春夏秋冬(26)」「獣医師によるOne Healthの実践」(平成27年9月18日)
会長短信「春夏秋冬(25)」「新役員体制でのスタート」(平成27年8月19日)
会長短信「春夏秋冬(24)」「第72回通常総会を終え、二期目のスタートに思う」(平成27年7月23日)
会長短信「春夏秋冬(23)」「世界獣医師会と世界医師会の共催によるOne Health国際会議で講演」(平成27年6月19日)
会長短信「春夏秋冬(22)」「中国獣医協会の皆様を迎え、有意義な意見交換」(平成27年5月22日)
会長短信「春夏秋冬(21)」「All Japan Pet Expo in Tokyo及びインターペット -人とペットの豊かな暮らしフェア- に参加して」(平成27年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(20)」「獣医師として巣立つ卒業生の皆さんに対する期待」(平成27年3月16日)
会長短信「春夏秋冬(19)」「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」(平成27年2月25日)
会長短信「春夏秋冬(18)」「魅力ある組織の発展を期待 -新たな挑戦元年に-」(平成27年1月22日)
会長短信「春夏秋冬(17)」「気持ちも新たに年を越します」(平成26年12月22日)
会長短信「春夏秋冬(16)」「日本医師会との連携シンポジウムを開催して」(平成26年11月14日)
会長短信「春夏秋冬(15)」「地区獣医師大会に出席して」(平成26年10月23日)
会長短信「春夏秋冬(14)」 「意識改革によって組織の整備・充実を」(平成26年9月25日)
会長短信「春夏秋冬(13)」 「人とペットとの共生社会の構築を」(平成26年8月21日)
会長短信「春夏秋冬(12)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年7月17日)
会長短信「春夏秋冬(11)」 「国際馬術競技大会に不可欠な獣医師会の支援」(平成26年6月20日)
会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
会長短信「春夏秋冬(9)」 「獣医師会の約束」(平成26年4月21日)
会長短信「春夏秋冬(8)」 「平成25年度獣医学術学会年次大会(千葉)が成功裏に終了」(平成26年3月20日)
会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
会長短信「春夏秋冬(5)」 「新しい年に向かって」 (平成25年12月18日)
会長短信「春夏秋冬(4)」 「私の活動の原点は動物愛護運動から」 (平成25年11月19日)
会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
会長短信「春夏秋冬(2)」 「広く国民の理解の下で狂犬病対策の推進を」 (平成25年9月17日)
会長短信「春夏秋冬(1)」 「本会の発展はスピードある対応と組織行動で」 (平成25年8月17日)
日本獣医師会とは