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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(19)」

「マイクロチップ装着による個体識別推進シンポジウムに出席して」
 平成27年2月13日(金)~15日(日)、岡山県コンベンションセンター及び岡山国際交流センター等を会場に、1600名を越える参加者を得て、平成26年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会が成功裏に終了しました。  開催県の公益社団法人岡山県獣医師会の三宅忠篤会長をはじめ役員並びに会員の皆様方が一丸となって取り組まれた成果であり、これまでの準備に向けられたご苦労に感謝を申し上げます。  また、本年次大会開催にご協力いただいた中国地区獣医師会連合会、公益社団法人日本医師会、同日本獣医学会をはじめ、公益社団法人中央畜産会、同全国農業共済協会、同日本装削蹄協会、同日本動物病院協会、一般社団法人日本小動物獣医師会、日本ウマ科学会に、また、後援を頂いた農林水産省、厚生労働省、環境省、文部科学省、日本学術会議、岡山県、岡山市に、さらに展示や協賛にご協力下された多くの企業・団体の皆様に対して、厚く御礼申し上げます。  本大会においては、開催実行委員会と企画運営委員会が、時間をかけて周到に準備をされ、関連学協会と連携することにより、多くのシンポジウム、教育講演、市民公開講座、地区学会長賞受賞講演、一般講演、ランチョンセミナー等が開催されました。いずれも学術的価値の高い内容であり、各会場とも多くの方々が聴講され、活発に意見交換がなされました。私も三日間、学生時代を思い起こしながら勉強させていただきました。また、歓迎交流会にも多くの方々が出席され、大変素晴らしい大会でした。  私は本大会では、多くの会場でご挨拶する機会がありましたが、その中で、マイクロチップ装着による動物個体識別事業の推進に関するシンポジウムでは、以下のことをお話しさせていただきました。  家庭飼育動物に対する個体識別用のマイクロチップの装着は、災害時の救護、迷子や事故の際の飼い主の特定、飼い主の飼育責任の明確化、狂犬病ワクチン接種の確認、獣医療や保険の際の個体確認等、その用途は多岐にわたります。特に、家庭動物等の確実な身元確認の方法として高く評価され、平成25年の動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正において、施行後5年以内の平成30年を目途にマイクロチップ装着の義務化の検討に向けた活動が求められています。  私は、平成4年に初めてロンドンの動物福祉施設でマイクロチップを目にして以来、我が国における装着の推進に努力してきましたが、一方で今日に至るまで多くの関係各位のご努力がありました。特に阪神淡路大震災で多数の飼い主不明動物が生じたことから、その有用性が見直されてきました。  日本獣医師会では、震災の翌年の平成8年からマイクロチップに係る検討を開始し、現在の運用の基礎となる「マイクロチップに係る基本5原則」を公表しました。すなわち5原則とは、安全性が確保されていること、装着は獣医療行為であること、ISO規格の製品で統一すること、データは日本獣医師会が一元管理すること、犬の登録制度への導入を検討することであります。  続いて、平成10年に登録事業を開始しましたが、数年かけて数百頭程度と登録数は伸び悩んでいました。この原因の一つに動物愛護団体や行政機関との連携不足が指摘されました。そこで、平成14年に動物愛護団体4団体と共にAIPOを発足し、共同で普及啓発に着手しました。直ちに、福岡県獣医師会と静岡県獣医師会が、続いて平成15年に東京都獣医師会が、マイクロチップ事業に参入したのを契機に、全国で普及がすすんでまいりました。  平成17年には、本日のシンポジウムに演者としてお越しいただいている当時の環境省動物愛護管理室長の東海林克彦先生と、また当時の自民党動物愛護小委員会委員長で超党派の委員を精力的に取りまとめられた現在の本会顧問の北村直人先生のご尽力で、動愛法が改正されて初めてマイクロチップの装着が強く推奨されました。  また、平成18年には民間のデータベースと統合し、日本獣医師会が全国一元管理をすることになりました。  現在、100万頭を超える登録があり、全ての都道府県の動物愛護管理センター等からの申請により、本会のマイクロチップデータベースに登録されている飼育者情報を検索するためのIDが交付されています。  本会は、わが国におけるマイクロチップの装着及び登録という責務を負っていることを自負し、今後も飼育者が動物の所有を明示するための一助となれるよう努力していく所存であります。しかし、家庭飼育動物が1000万頭と推定される中で、登録頭数の100万頭はその1割程度であり、今後の普及活動の強化が必要であると痛感しています。本日のシンポジウムを契機としてマイクロチップの装着がさらに一層推進されますことを期待しております。  終わりに、マイクロチップに関してインフラ整備を推進されてこられた関係各位に、改めて感謝と敬意を表して挨拶といたします。  このような挨拶をシンポジウムの冒頭でいたしました。当日は、マイクロチップ装着の取組と課題について、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室の今西 保先生から基調講演をいただきました。その中で、環境省としてマイクロチップの普及啓発を行い、普及率の向上に向けて複数の自治体でモデル事業を行うとともに、義務化に向けて必要な施策を進めていると、大変力強いお話を頂きました。また、東京都獣医師会の村中志朗会長、福岡県動物愛護センターの掛川裕之所長、香川県獣医師会小動物部会の保田英彰会長から各地での取り組み成果と本会のAIPO事業への助言や課題の指摘を含めてご講演をいただきました。さらにペットフード協会の越村義雄会長からマイクロチップ装着への期待について、日本愛玩動物協会の東海林克彦会長から災害時のペット救護とマイクロチップについて、大変有意義な提案を頂きました。 以前に会長メルマガでお伝えしましたが、昨年の衆議院選挙の際の自民党の選挙公約にマイクロチップの装着の促進が初めて挙げられ、今後の普及の強化に弾みがついたと期待しております。本会の会員と構成獣医師の皆さんと共に運動を大きく展開してまいりましょう。 平成27年2月25日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

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