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会長短信「春夏秋冬」

会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています

会長短信「春夏秋冬(33)」

「災害に備える」
 ガタガタガタ、ユッサユッサ。  平成28年4月14日21時26分、マグニチュード6.5、震度7の強い地震が熊本県益城町を襲いました。新聞報道によれば、九州では観測史上最大規模の地震とのことでした。  この地震による被害は、熊本県内で死者9人、負傷者1,100人超と、被害も甚大でした。  百数十回に及ぶ余震が続き、誰もが早期の鎮静化を期待している中の4月16日夜中の1時25分、マグニチュード7.3、震度7の地震が再度襲ってきました。  気象庁によれば、これが「本震」で、28時間前の最初の地震は「前震」、「本震」は阪神大震災級とのことでした。一連の地震による被害は18日朝現在で、死者42人、避難者11万人となり、被害は熊本城天守・櫓等の損壊、阿蘇大橋の崩落等をはじめ、九州各県に拡大しました。  今回の地震で、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、家屋の倒壊等被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。  テレビ報道を見ていて感心させられたのは、このような大被害を受け、家屋を失い、停電・断水が続く中、自衛隊やボランティアによる飲食料の配給に、整然と並んで順番を待っておられる被災者の姿でした。「気が休まる暇はないけど、皆んなだから仕方がない」、「並んでも、ご飯が食べられて有り難い」と答えておられる被災者の映像を見て、熊本県の方々、そして日本人は、何と穏やかで冷静な県民・国民かと、改めて敬服する次第です。  日本獣医師会としても、4月16日に「熊本大震災救援緊急対策本部」を設置し、18日から義援金の募集を開始しており、熊本県獣医師会をはじめ全国の会員獣医師会、構成獣医師等とともに、早急に災害支援・復興支援を行って参る所存です。  実は、4月14日の発災時、私と本会副会長等三役は、熊本県境に近い大分県九重飯田高原において業務運営幹部会を開催していました。  会議の目的は、通常の業務執行のほか、本年度に飯田高原に設置を予定している「九州災害時動物救援センター」予定地、11月に開催を予定している「第2回WVA-WMAワンヘルスに関する国際会議」及び「2016動物感謝デー in JAPAN」の北九州市小倉会議場等の事前調査でした。  動物救援センターについては、東日本大震災における被災家庭動物救護・獣医療活動を教訓とし、地震等緊急災害時に地域防災計画に即した速やかで適切な動物救護獣医療活動を行う体制を整備することとして、本会が会員獣医師会とともに検討を進めているものです。  九州災害時動物救援センターは、全国に先駆けて九州圏における拠点施設として九州地区9地方獣医師会の支援を得て(一社)九州動物福祉協会と協働で設置するものです。  今回の熊本県を中心とした震災を受けて、九州センター設置に向けた具体的な活動とともに、全国各地域での広域的動物救護獣医療活動体制の構築が急がれるところです。  環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」では、地方自治体の役割や、動物救護施設の設置による災害時のペットの一時預かり、負傷動物、保護・収容した放浪動物の飼養管理等のほか、被災者とペット動物との同行避難も推奨されています。  本会における具体的な取組方針については、動物福祉・愛護部会に設置された「災害時動物救護に係るガイドライン改定検討委員会」において、東日本大震災の経験等を踏まえた動物救護ガイドラインの見直しの検討が進められています。  今回の熊本県における震災被害を受け、本会としては、ガイドラインの見直しと並行して、九州災害時動物救援センターの設置に急ぎ取り組みます。  最後に、熊本県をはじめ各地域において被災された方々及び動物達の一日も早い生活の復旧と家屋等の復興をお祈りするとともに、このような災害は全国どこでも起こり得ること、それに対する平時からの備えが重要であることを再認識し、お見舞いの言葉といたします。 平成28年4月21日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫

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会長短信「春夏秋冬(10)」 「地方獣医師会との連携を強化し、迅速な課題解決に向けた更なる決意」(平成26年5月16日)
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会長短信「春夏秋冬(7)」 「共に歩む日本獣医師会に期待を」 (平成26年2月20日)
会長短信「春夏秋冬(6)」 「目標実現の年に」 (平成26年1月17日)
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会長短信「春夏秋冬(3)」 「五十嵐幸男先生のご逝去に接し」 (平成25年10月17日)
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