公益社団法人日本獣医師会

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過去の入賞作品一覧

第31回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
ヨットの家に住むきみ 河野 いづみ 大阪府
<受賞理由>
古い家の売却を通して、動物を飼うことのきっかけ、適正飼育、飼育者の高齢化問題、終生飼養等のメッセージを、テンポの良いストーリーに上手に取り込み、暖かく伝えている秀作である。ペットごと家を売りたいという発想がユニークで面白く、ミステリー感もあり、物語に引き込まれて一気に読んでしまう。また、相手の立場に立って考えを巡らせれば、双方が満足できる解決策を見出すことが出来るということも示唆している。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
満月の夜に 尾﨑 順子 兵庫県
<受賞理由>
満月の夜になると山の獣達の声が分かるようになる教師の真一と猟師の弥平の物語。社会が直面している野生動物の問題を、ファンタジー性豊かに表現し、難しさを感じさせずに物語へと引き込こんでいく。情景描写が優れており、野生動物を取り扱う視点も良い。最後は安易に結論付けをせずに動物との共生について子供達に考えさせているが、やや分かりにくいか。
明日香が生まれた夏 佐々木 晋 北海道
<受賞理由>
狭い空間、短い期間で展開されるストーリーの中で、ひぃおばあさんの死、子猫の誕生、母猫の死、妹の誕生と、生死が交差する物語へと読者を誘い込む。「生死」という重いテーマを取り扱っているが、心温まるファンタジーで、優しく命について考えさせている。生命の連環を想起させるラストも印象的。途中に張られている伏線もきちんと回収されており、力量ある作品である。ただし、公園で生活をするというのは如何か。展開にもう少し工夫が欲しかった。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
図書館のL 梅津 洋子 徳島県
<受賞理由>
図書館の脇に捨てられた子猫を育てていくことを通して、子供の成長や家族のまとまりを生き生きと描いている。主人公のマミちゃんの友人に対するヤキモチや、おばあちゃんの優しさが物語の幅を広げている。諸事情で動物を飼えない家庭でも、ペットを飼っている友人や親戚と一緒に世話をすることで、動物と関わる機会を持てることを紹介
している。アニメ・歌詞等の著作権に関わる表現がなければもっと良かった。
かわぐつ先生 感王寺 美智子 福岡県
<受賞理由>
戦争体験により、一生をかけて人も動物もひとつでも多くの命を救っていきたいという、獣医師のかわぐつ先生の思いが伝わり、人としての誠実な生き方をさりげなく語っているところに共感を覚える。情景描写がやや分かりにくいところがあるが、こなれた文章で読みやすく、感動的なストーリーである。
牛の命 芝田 賢一 北海道
<受賞理由>
北海道の牧場での体験を通して、主人公の少年が命の連鎖について実感を持って学び、成長していく様子を優しいまなざしで見つめている。動物児童文学として題材が素晴らしい。現在の酪農家の実態(大規模化・機械化・人手の確保)や、牛の習性、搾乳の仕方、酪農家を支える獣医師の役割などが良く描かれている分、誤字や子牛の死因に矛盾があること等が残念であった。
鳩に似た父さん 中野 幸隆 東京都
<受賞理由>
戦後間もない暮らしの中で、新聞配達で稼いだお金で小学生が鳩を飼う物語は、今も昔も変わらない、動物を飼うことの喜びや、それに付随する飼い主の責任等を押しつけることなく伝えている。ドバトの能力・歴史、時代背景などが良く描かれており、読者を引き込む力がある。ただし、時代背景にある労働組合問題は児童文学としては少し難しいので、親子で読んで欲しい作品である。
ミュウが教えてくれたこと 吉田 万里子 大阪府
<受賞理由>
学校飼育動物のウサギを亡くしたことから始まり、助かった子猫の命もあれば、亡くなっていく祖母の命もあり、繋がれていく命について学んでいく中で、成長していく主人公の少年の姿に希望が持てる。要所要所で出される母親の指示が若干説教くささもあるが、的確な指示を出す役割を与えることで、上手くまとめられている。飼い主の責任、獣医師、動物保護施設、ボランティア獣医師の役割等、様々な問題についても伝えている。

第30回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
大切な時間 マワル ツタ 奈良県
<<受賞理由>>
少年が動物病院でアルバイトをして犬を飼うことの大変さ、犬に対する優しさ、責任を学習し、成長していく過程がとても丁寧に描かれており、少年の心の変化と共に最後まで勢いよく読むことが出来る。昨今のペットショップ事情、子犬の流通問題について子供たちに考えさせる内容や、獣医師や動物看護師の動物に対する考え方、動物病院の仕事内容等、多くの子供達に伝えたい内容が紹介されており、動物愛護作品として秀作である。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
泣き虫だったぼく ゴン太 北海道
<<受賞理由>>
泣き虫だった少年が助けた子犬と共に生活し、健全に成長していく様子をほほえましく描いている。現実には起こり難い展開も、身近で日常的な設定と背景描写で、読み手を物語にスッと入りこませ、すんなり読める簡潔なストーリーである。また、さり気なくリードの話題や飼い主の責務を感じさせる場面や表現が挿入されている。小学生に適した秀逸な作品である。
ピイの飛んだ空 七ッ樹 七香 熊本県
<<受賞理由>>
救護したスズメの雛を巣立てるまで育て、自然に返す小学生を描いており、野生動物の保護と対応を冷静な筆致で伝えている。登場人物をよく書き分け、野鳥との関わり方、役所の飼育許可、バッタの足をちぎって与えなければならないことなど、生半可な気持ちでは雛を育てることは出来ないことをきちんと伝えており、最後まで一緒に雛の成長を見守る気持ちになれる。ただし、本作品中での役所の対応が、別の場面でも同様に対応されるとは限らない点や、雛を育てることを是として取られないかという点が若干懸念される

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
優太の夢 西村 一江 山口県
<<受賞理由>>
自然保護官の母親と野生動物写真家の父を持つ兄弟が、絶滅したとされるニホンカワウソに会う夢を抱く物語である。自然との関わり方、家族の愛情が巧みに織り込まれており、しっかりとした文章構成にも好感がもてる。ただし、動物の福祉・愛護に関するメッセージ性が薄かったのが残念である。
名前を呼んで! 樹 葉 兵庫県
<<受賞理由>>
友達が飼育していたダルマインコを飼うことができなくなり預かるという出来事を通して、ペットを事情で飼えなくなった後の問題について考えさせる作品。共同住宅で飼うことの難しさ、外来種の問題など昨今のペット事情が描かれている。学校の飼育小屋で放すことを是と捉えられる等の懸念があるものの、インコを守ろうとする主人公の気持ちは伝わってくる
ポニー・ノート 村上 あつこ 東京都
<<受賞理由>>
人間関係が苦手だった女の子がポニーと出会うことで変わっていく様子が、動物との触れあいと人との触れあいをうまくリンクさせて描かれている。起承転結がとてもうまく、すんなりと馬についての情報も入ってくる。女の子が馬から純粋に感じた想いが鮮明に描かれていて、素直に感情移入できる作品となっている
コイの観察日記 大谷 誠 大阪府
<<受賞理由>>
コイの観察を題材に小学生の男の子が地域の方々と触れあい、地域の歴史や様々な事を周りの大人から学んで成長していく様子が描かれており、話の展開を面白く読ませる文章である。子供向けの内容ではあるが、大人が読んでもどこか懐かしさを感じさせる。ただし、動物福祉・愛護を扱う動物児童文学としては、募集内容との整合性の点において若干違和感が残る。また、コイが外来種であることが残念である。
ゾウのTシャツ 小野 みふ 東京都
<<受賞理由>>
タイ旅行中に購入したゾウのTシャツから、ゾウと人間の関わり方、野生のゾウが絶滅の危機にあることを学んでいく展開が面白い。人間と共生してきたゾウを取り扱う視点も興味深い。子供達に絶滅危惧種や自然保護について考えさせる内容である。なぜゾウを守らなければならないのかの文章がもう少しあると良い。

第29回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
ネコの町 海見 みみみ 東京都
<<受賞理由>>
大事にしていた猫の死をきちんと受け止めるまでを、丁寧に優しい視点でとらえたファンタジー。主張や価値観を押し付ける感じがなく、猫の町に迷いこんだ主人公マナベ君と猫のタイゾーを通して、「動物への優しさ」をうまく書き伝えている。様々な逸話を含む童話仕立ての物語が、子供にもわかりやすく、ペットの身になって考えるよう導く作品。起承転結もしっかりしており、最後は感動的に締めくくっている。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
ふるさと ぽろり スーザン ももこ 東京都
<<受賞理由>>
川で捕まえられ、飼育されることになったカメを取り上げた作品。動物が自然の中で生きる事への思いが素直に描かれ、自然の環境で生息していくことと、ペットとして飼育されることの違いを子供に考えさせる。外来種の問題にも触れ、生きものに対するやさしい視点から動物を飼うことに正面から向きあった作品。カメの擬人化が過ぎている感もあるが、結末もさわやかで、読後感も良い。
空からふってきたレニー 司城 みずほ 三重県
<<受賞理由>>
マンションでの動物飼育事情の問題を提起し、子猫を保護してペットとして飼っていくために大切なことは何かを、物語を通して考えさせる。捨て犬・猫、新たな飼い主探し、マンションの決め事、動物アレルギー等の考えさせられるテーマについて、主人公の柚子が自分なりに考えて適正飼養を模索し、大人やマンションの住民も巻き込み、みんなで問題を解決する様子がよく書かれている。言葉を整理するともっと面白くなる。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
走る馬の向こう側 まきうち れいみ 東京都
<<受賞理由>>
主人公しゅん君の牧場体験を通して、馬に対する愛情や競走馬の世界・一生が描かれており、競走馬の普段見えてこない面を考えさせる作品。題材として、中高生や大人向けの一面もあるが、家畜の命について、少年が自分で悩み、考える点が児童文学作品として評価できる。
みんな みんな ありがとう 江角 岳志 東京都
<<受賞理由>>
野良猫の世話をする大人と、動物たちとのふれあいの中で心が変化していく不登校の主人公の真亜沙(マーサ)が心を開いていく過程を描く、あたたかみのある作品。現代の社会問題である、不登校児や地域猫の問題を幅広く取り上げ、必ずしも問題解決までは至らないが、少女を立ち直らせる動物の持つ力が描かれている。
里山の夏休み 西村 一江 山口県
<<受賞理由>>
小学生の兄妹が夏休みに訪れた里山での生活を通して、農山村における人と動物の共生問題に直面し、自然との共存とは何か、野生動物との接し方を考えさせられる。子供の頃にいろいろな動物に接するといった体験は、生態系とその保全の理解に大切である。話題が多岐にわたり、散漫な一面もあるが、大人の知恵や知識、里山の子供たちの戸惑いがやさしい視点で書かれ、動物たちとのふれあいや習性が描かれている。
信頼できる温もり いっき 京都府
<<受賞理由>>
学校で飼育されるモルモットを通して獣医師になる夢を抱く子供たちの物語であり、命に対する考え方や、動物の飼育責任が受け入れやすく触れられている。主人公の健には、小学生らしくない一面もあるが、上級生の美代子や、美代子の父の獣医師との交流から、健が動物を理解しようと成長する過程が描かれている。
羊飼いの少年 サブ 間山 三郎 群馬県
<<受賞理由>>
一般的にあまり詳しくは知られていない、羊飼い、牧羊犬、羊のことがわかりやすく書かれている。羊飼いの家族の生活を通して、動物や人とのかかわりを描き、命をいただくことの意義も伝える。愛犬の死も感情に流されず、動物に対する深い理解と愛情が表現されており、力強く生活する様に心を打たれる。校正をしっかりするとよい。

第28回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
ピーコの贈り物 高遠 リョウ 埼玉県
<<受賞理由>>
インコを主要登場動物として、高齢者とペットの譲渡に関する問題にふれつつ、動物が人の生活に潤いを与えてくれる存在であることがよくわかる心温まる作品。生き物に対するやさしさが文章の端々に感じられる。主人公タクミの気持ちにハラハラしながらも共感が可能であり、子供へのメッセージとしても適切な内容で、安心して子供に読んでもらえる。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
霧の波 さいわい 徹 和歌山県
<<受賞理由>>
動物との共生の難しさや動物を飼うことについて、純少年の田舎での体験を通して考えさせられ、生態系保全の大切さも理解できる。文章力が高く、読んでいて引き込まれる。動物との共存に答えがないこと、動物を思う気持ちが大切なことが伝わってくる。
農村社会での鳥獣問題を主に取り上げている点は良いが、学校の先生の殺処分ゼロの話題については、作品全体の分量を考えると盛り込み過ぎの印象もある。
ピューマからムサシへ 佐々木 晋 北海道
<<受賞理由>>
天売島の野良猫による野鳥食害問題を取り上げ、保護猫が家族の一員となるまでを巧みに描いた、ハッピーエンドにホッとするポジティブな良い作品。子供が読んでわかりやすく、読んでいて心優しくなる。馴化の過程が簡単過ぎる気もするが、野良猫の譲渡先探し・馴化ボランティアの活躍や苦労にもうまく触れて紹介している。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
飼い主審査、いたします 岡田 薫子 群馬県
<<受賞理由>>
ペットを飼いはじめたときはよく世話をするが、そのうち親任せに、そんな子供への注意を呼びかける、斬新な構成の作品。ファンタジー仕立てで、理解しきれない子供もいるかもしれないが、読んだ子供は、犬の気持ちを察せられるようになるかもしれない。ペットを飼おうと考えている子供たちに読んでもらいたい。子供だけでなく大人にも教訓になる。最近流行の言葉の使用や、タイトルもユニークで面白い。ICチップ(マイクロチップ)の説明は、若干不正確なのが残念。
マイとウーノ 宇森 うずら 東京都
<<受賞理由>>
ジャックラッセルテリアのウーノをはじめとした動物とのふれあいの中で、様々な動物の習性や接し方を知り、失敗例も含めて少年マイが成長して行く様子が紹介されており、「動物に絶対はない」というメッセージが考えさせられる作品。少年の心の変化の記述が良く、動物との関わり方のみならず人との心を通わすことの大切さを実感できる。
この作品に限らないが、子供がペットと暮らして何かを得るという作品は、親が離婚していたり、死別していたりという設定が多いのが気になる。
かわいいペット貸します 森野 まこと 宮城県
<<受賞理由>>
野生の猪の子供を保護した分校の子供たちの様子がうまく書かれている。子供達が大人に気づかれないよう猪の子供5匹を守り育てようと必死に協力している姿が微笑ましく、意表をつく結末に心温まる。仮名遣いなど児童向けを意識して執筆されており、子供が読みやすい。タイトルから猪が想像できないのが意外性があり難点か。
となりに住む野鳥へ 久保木 優子 千葉県
<<受賞理由>>
はっきりした起承転結がある物語ではないが、おじいさんの自然環境への対応姿勢が良く、孫にも自然に生き物へのやさしいこころが育まれていく様子が書かれている。野鳥の良い面、困る面を自然の中でやわらかく教え、野生生物との付き合い方を示唆する作品。作者の野鳥に対する温かいまなざしを感じる。
こんこん、こんこん 広瀬 智子 滋賀県
<<受賞理由>>
学校の教室でのバードストライクを主題にした身近なテーマの作品。バードストライクに対処するこどもを通して「なぜ」、「どうすればいい」がうまく紹介されており、情感豊かでよくまとまり、リアリティもあって環境学習によい。クラスメートの西江君の設定が出来過ぎな感もあるが、主人公の少女美羽の心の動きが身近に感じられ、読後感が良い。

第27回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
アザラシ物語 矢代 稔 神奈川県
<<受賞理由>>
アザラシの子供の救護を通じて、自然との付き合い方、救護施設の状況、野生動物による漁業被害、動物保護に係る自治体の財政事情、野生復帰に伴う課題まで幅広く伝わるように記されている。主人公の心情もわかりやすく書けており、動物を大切にしたいというテーマが、あまり押しつけがましくなく、自然に感じられる。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
家族になってくれてありがとう 山岡 ヒロミ 愛媛県
<<受賞理由>>
ゾウの生態、厳しい生息環境が子供にわかりやすく紹介されている。動物園での繁殖、飼育係の情熱ある活躍の描写も良い。孤児になったゾウの運命を通して、野生動物との関わり、自然破壊への警鐘等、児童に伝えたい内容になっている。
よわむしくんの決意 江馬 則子 奈良県
<<受賞理由>>
犬や猫など動物が苦手な少年が、少しずつ慣れて成長していく過程がよく描かれている。動物を飼う事の責任も上手く表現している。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
いのち ひきついで 金井 つね子 長野県
<<受賞理由>>
かつての田園地域における、養蚕農家の生活を通じて、人も動植物の命をいただいて、命をつないでいる事をわかりやすい文章で表現している。
ユーカリの森 さいとう まどか 愛知県
<<受賞理由>>
少年の冬休み体験における山火事を通じ、動物と人との関わり、少年同士の交流、オーストラリアの自然の紹介、少年の動物を思う心等について、情景が目に浮かぶようにうまく書かれている。
おばあちゃんの手押し車 森 渓介 群馬県
<<受賞理由>>
少女と捨て猫を通して飼育責任を考えさせる作品であるが、独居の高齢者の動物飼育による生き甲斐、高齢者による動物飼育に伴う問題も提起している。ハッピーエンドの物語に読者である子供達はほっとするであろう。読みやすく、温かさが伝わる優しい作品である。
ひよこさんの願い 福永 智彦 広島県
<<受賞理由>>
保護された犬の気持になって書かれているが、作者の動物に対する優しさ、温かさが感じられる。子供達に色々と考えさせることのできる作品である。
リョウダンス・ペラヘラ 柳澤 みの里 東京都
<<受賞理由>>
スリランカの情景や人とゾウの関係を日本人旅行者の子供の視点で描いている。子供がゾウとの空想の世界に入るという物語展開は意外性もあり、面白い。とても文章がうまく、ぐいぐい読ませてくれる。ゾウの孤児院を通して、野生動物との接し方、環境問題等、深く考えさせられる作品である。

第26回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.日本動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
よっちゃん、ごはんだよ 髙森 美由紀 青森県
<<受賞理由>>
母と死別し、複雑な家庭環境の主人公が、いつも吠えられ、怖かった隣の家の犬の世 話をすることになり、試行錯誤しながらも、やがて身近な存在になってゆく。主人公は、 犬と心を通わせる体験を介して、それまで苦手としていた周囲の人々とのコミュニケー ションがとれるようになる。人と動物だけでなく、人と人との関係も描いた物語となっ ており、ユーモアも交えながら、心の動きを描写した優れた作品である。

2.日本動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
ウルフがおしえてくれたこと 松田 好子 東京都
<<受賞理由>>
学校嫌いだった主人公が、狼に似た犬のウルフとの交流を通じて獣医学生になるまでを描いているが、動物を飼育する際の覚悟や、飼い主としての責任を子供達にもわかりやすい文章で表現しており、動物と子供達の関係を上手に描写している。
夢のかけはし くれ まさかず 愛知県
<<受賞理由>>
ヘビを題材とした珍しい作品だが、動物に対する感情や、怪我をした動物を助ける行動とその心情が、獣医師の父や、ヘビ嫌いの母との間の親子の会話を通じてよく表現されている。身近な動物との関係という面でも考えさせられる。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
鳥たちの時間 尾崎 潤 大阪府
<<受賞理由>>
主人公が自分の悩みをオオワシの観察を通じて解決する物語。少年の成長、立ち直りを素直に表現してあり、野鳥観察の魅力も上手く描かれている。少年時代の1ページの様な作品である。
ミルティーがくれたコンパス 芦沢 美樹 静岡県
<<受賞理由>>
北極圏を舞台に、環境指標となっているホッキョクグマを題材としたスケールの大きな冒険物語。北極圏への初航海の途上、夢の中でのホッキョクグマとの生活や、主人公の心の変容をうまく描写している。
グッドバディ 柳澤 みの里 東京都
<<受賞理由>>
乗馬クラブの仲間、馬との関わりの中で母親の死の悲しみを主人公が克服していく過程が描かれている。登場人物、馬のキャラクター設定がしっかりとされており、主人公の心の葛藤もうまく表現されている。
あの日、小箱にしまったもの みくに つぐえ 神奈川県
<<受賞理由>>
身近な野鳥であるスズメの扱いについて教訓的に話が進められるが、子供同志の会話がスムーズで、季節感もあり、風景がよく見える作品である。スズメという小さな野鳥の命に対する2人の少女の気持の動きが繊細に書かれ、心打つものがある。
ホープ - 希望の犬 - 髙岡 純 埼玉県
<<受賞理由>>
犬を飼うことの大切さ、犬が人と人とをつなぐ役割等を描いており、読後、温かな気持ちにさせてくれる。登場人物、各々の思いが素直に伝わる作品である。

第25回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
超救助犬リープ 石黒久人 大阪府
<<受賞理由>>
救助犬リープと犬訓練士”担当”さんとの深い愛情が表現された心温まる物語。人と犬との信頼関係に加え、リープの視線で展開される物語も軽快で読みやすい。災害現場の描写も迫力がある。犬の性格によって、警察犬、救助犬、盲導犬、聴導犬等、役割の違う使役犬が存在すること、特に災害救助という危険と隣り合わせの中で活躍する救助犬について理解を深める作品である。

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
フクシマのねこ 本田真貴 福島県
<<受賞理由>>
東日本大震災を題材にしたリアリティのある作品。飼い主の少女まなと猫アイとの出会い、被災、放浪、再会まで、短いながらも丁寧に描写しており、読む人の心を打つ。特に、死んだと諦めていた猫アイと再会できると知り、涙する際、目には強さと光がよみがえり、生きる希望が生まれてくる描写はリアルであり、無事に再会できる喜びと幸せが文面から伝わってくる。
ぼくとクウの不思議な7日間 坂本亜紀子 埼玉県
<<受賞理由>>
母が入院している7日間、犬のクウが人間の言葉を話すことができ、少年いおりと気持ちが通じる面白い構成の物語。クウに勇気をもらい、様々な事に挑戦する主人公いおりの行動が読者に元気を与えてくれる。家族愛の深さ、家族の一員としてのクウの存在感がうまく表現されている。構成、展開、叙述、ともにすぐれている。親子関係の会話がすばらしく、ほのぼのとした、あたたかな作品で、心がなごむ。

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
いつか見る川 水野春彦 千葉県
<<受賞理由>>
それぞれの祖父や父の影響により、少年少女が夏休みの自由研究としてメダカ等の自然の生態系を壊さず維持していくやりとりが軽妙な会話で表現されている作品。外来生物について、身近な川を舞台として、身近な動物であるメダカを題材に話が展開され、自らの問題として環境、生態系、生物多様性保全の問題を考える機会を与えてくれる。
命をありがとう 木乃あい 兵庫県
<<受賞理由>>
猫のハンティングの事実を知り、自らの肉食について葛藤する主人公梨花。自然からの恵みを「いただく」ことなく生きていけないことを自らの体験を通して学んでいく姿が描かれる。少女が感情を乗り越え、「命をありがとう」と理解に至る様は微笑ましい。食物連鎖、食育について考えさせられる作品。
鈴の音が聞こえたら 三田真登 埼玉県
<<受賞理由>>
秩父の山中と夜祭りを舞台に、少年光太と犬スズの束の間の交流は面白く、鈴を首につけた犬の存在も読みごたえがある。本当の飼い主との偶然の出会い、飼い主にスズを返す際の主人公の心情がうまく描かれている作品。
地球が住みか 藤井弘子 広島県
<<受賞理由>>
外猫への餌やりの問題を上手く紹介しつつ、猫嫌いなおばあちゃんと、猫好きな主人公麻緒と姉真由、両親との楽しい一家の様子が良く伝わってくる作品。ありふれた日常生活が見えるように素直に書かれ、低学年の子供達にも理解しやすいと思われる。
ライオン日記 田中廣司 岐阜県
<<受賞理由>>
学校飼育動物のウサギの飼育を通じ、命の大切さを学んでゆく児童達を描き、読み手に考えさせる作品。「小さな弱い動物を大切にできない者が、どうして友達を大切にすることができるの?学年が一つ上がると、一つ強くなれる。そして同時に一つやさしくもなれる。強くなりたいから、弱い動物にやさしくなる。」心に響く言葉である。

第24回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
里山のシカ 沖 義裕 茨城県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
エリー、いっしょに歩き出そう 髙森 美由紀 青森県
ミーコの午後 叶 昌彦 千葉県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
ロッキーとクリーム 芦沢 美樹 静岡県
ソラマメの木 阿部羅 かおる 大阪府
猫おばさんのコーヒーショップ 栗栖 ひろみ 埼玉県
どこへいくの?~あるミニチュアダックスの兄弟の物語~ 水沢 稚津夫 東京都
約束、勇太のさくら 高杜 利樹 宮城県

第23回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
雨上がりの晴れた空 加藤英津子 愛知県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
サザナミのゆめ 彩波さだこ [ イロハサダコ ] 東京都
二匹のムサシ 石川 純子 兵庫県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
心の目 工藤 洋一 青森県
さくら 堂前 美紀 石川県
クロちゃんのくれたもの 叶 昌彦 千葉県
ぼくとコラの物語 小川まゆみ 福岡県
『虹の橋』で会えるまで 藤井 弘子 広島県

第22回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
タヌキの来る家 中島 晶子 鹿児島県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
じっとみつめるんだ、太平! 春野 洋治郎 鹿児島県
犬と歩く。 村上 義人 北海道

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
愛ちゃんの遺言 岩川 和子 青森県
タケシと篤志
~友情に仕切り目なんかないんだ!~
八田 千代 京都府
都会のケリ 田中 清志 大阪府
おいでハピネス 倉本 采 東京都
走れ、ぼくのデン 小玉 美一 北海道

第21回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
ヘルパー犬ゴロ 青木 邦夫 [ アオキ クニオ ] 東京都

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
柴犬コロンの青空 橘 世理 [ タチバナ セリ] 神奈川県
天国へのけむり 藤井 仁司 [ フジイ ヒトシ ] 京都府

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
夢といつまでも おかざき こまこ 岡山県
ハナとボクと100の幸せ おっきなキューリ 東京都
ホッキョクグマと三角コーン 芦沢 美樹 [ アシザワ ミキ ] 東京都
母の日のプレゼント 小柳 智佐子 [ オヤナギ チサコ ] 千葉県
プーちゃんのおうちへ、ようこそ 季巳 明代 [キミ アキヨ ] 鹿児島県

第20回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名) 

作品名 氏名 都道府県名
プリン 山田 士朗 神奈川県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
サスケ またいつか会おう 滝上 湧子 東京都
アフリカからのEメール 佐藤 良彦 長野県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
レッツゴー ロック 高村 たかし 新潟県
最初の一歩 高野 麻由 埼玉県
子ガメ孵る日 竹田 弘 沖縄県
おばあちゃんとシロのあいだ 佐々木 好美 千葉県
ふりかえった犬 中村 君江 福島県

第19回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
君といっしょに こうまる みずほ 滋賀県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
ハシブトガラスのゲン五郎 白川 [ シラカワ] みこと 愛知県
機関車ノンちゃん 石川 純子 [ イシカワ ジュンコ ] 兵庫県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
バトン 水野 遼太 [ ミズノ リョウタ ] 東京都
修行僧パチ 鳥羽 登 [ トリバ ノボル ] 埼玉県
蓮田にもどりたがったウシガエル 小林 隆子 [ コバヤシ タカコ ] 茨城県
砂時計 伊東 真代 [ イトウ マサヨ ] 静岡県
アカテ・・叫べ!命の森 井上 雅博 [イノウエ マサヒロ ] 広島県

第18回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(1名)

作品名 氏名 都道府県名
空、そら、ソラ! 小松 美香 [ コマツ ミカ ] 群馬県

2.動物児童文学優秀賞 (2名) 

作品名 氏名 都道府県名
アカウミガメの奇蹟 内侍原 伊織 [ オシハラ イオリ ] 福岡県
サトミとの夏 こうまる みずほ 滋賀県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
由記ちゃんとみつ 太田 真由美 [ オオタ マユミ ] 北海道
山のメイちゃん 青木 雅子 [ アオキ マサコ ] 埼玉県
こころのゴミ箱 小此木 晶子 [ オコノギ アキコ ] 埼玉県
ネコおばさんと三人の仲間 石川 兼彦 [ イシカワ カネヒコ ] 大阪府
リンゴ園の天使たち 浜田 尚子 [ ハマダ ナオコ ] 東京都

第17回日本動物児童文学賞 入賞作品一覧

1.動物児童文学大賞 <環境大臣賞状交付対象>(2名)

作品名 氏名 都道府県名
ぼろ 中山 小志摩 [ ナカヤマ コジマ ] 大阪府

2.動物児童文学優秀賞 (3名) 

作品名 氏名 都道府県名
雑種犬のプライド 加藤 英津子 [ カトウ エツコ] 愛知県
ザリガニぼうやと子どもたち 三村 愛 [ ミムラ アイ ] 栃木県

3.動物児童文学奨励賞 (5名) 

作品名 氏名 都道府県名
ロック 小松 勉 [ コマツ ツトム ] 島根県
エサを探しに 飯森 美代子 [ イイモリ ミヨコ ] 長野県
リタイア犬・ロミオ 富士 木花 [ フジ コノバナ ] 埼玉県
アカリとスワ 陸奥 賢 [ ムツ サトシ ] 大阪府
ナナと良太 馬場 大三郎 [ ババ ダイザブロウ ] 鹿児島県