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5. 今後における日本獣医師会三学会年次大会の開催計画の件
(1)大森専務理事から,[1]本年度の年次大会については,日本獣医学会との連携大会として,3月の開催に向け準備を進めている.理事各位におかれても多数の参加者が得られるよう地元等での広報への協力をお願いしたい,[2]平成18年度については,埼玉県獣医師会の尽力により,本会主催,埼玉県獣医師会共催による地方開催(地元獣医師会委託開催)形式により,平成19年2月23日〜25日,大宮ソニックシティーで開催予定である,[3]平成19年度については,全回理事会での協議を踏まえ,四国地区連合獣医師会の尽力により,四国地区連合獣医師会共催,香川県獣医師会委託開催形式により,平成20年2月9日〜11日,サンポート高松で開催予定であることが報告された.
(2)次に質疑応答として,17年度の連携大会における費用分担,講師謝金等の両団体の支払い方法について質疑があり,大森専務理事から経費負担については基本的には双方で折半とすること,また,謝金は今回は双方が異なった対応をしているが,今後の検討課題と考える旨回答された.

6. 日本獣医学会との連携推進等の件
 大森専務理事から,11月30日,本会三役及び酒井学術・教育・研究担当理事と日本獣医学会役員等が三学会年次大会の運営等両団体の連携強化について懇談を行い,[1]両団体は今後,懇談会を交互に継続して開催する,[2]連携大会は当面3年〜4年ごとの開催を目標とし,今後,わが国獣医界の総力を結集した両学会の学会総会を目指しつつ,次回連携大会に向けたワーキングチームの編成を行うことを確認した.なお,日本学術会議の機構改編による従来の登録学術研究団体制から協力学術研究団体制への移行についても協議し,今後,三学会については,学術会議の再編や本会職域別部会との関係を踏まえ,組織整備と効率かつ合理的運営に向けての検討を開始する必要がある旨が説明された.

7. 動物ID普及推進会議によるマイクロチップ個体識別事業推進等の件
 大森専務理事から,動物ID普及推進会議(AIPO)によるマイクロチップ(MC)個体識別事業推進については,9月8日付けで地方獣医師会長へAIPO事業の普及推進を依頼し(本誌第58巻第10号659頁参照),また,「特定外来生物による生態系等による生態系等に係る被害の防止に関する法律」施行に伴う,危険動物等の個体識別措置へのMC導入に先立ち,環境省の協力依頼により,地方獣医師会へ実施した「犬,猫以外の飼養動物(哺乳類,鳥類及び爬虫類)へのMC埋込みの実施体制に関するアンケートについては,その調査結果に鑑み,環境省では全国でMC埋め込みの技術講習会を開催することとされたので,地方獣医師会へ協力依頼をしたことが報告された.続いて,藏内副会長から,国がMCを義務化した,この機会こそ,AIPOと民間会社の独自のシムテムとの情報管理の一元化が必要不可欠であり,先日,本会役員と民間会社で協議した結果,今後の運営上の諸課題を解決しながら一元化を目指すことが合意された旨補足説明された.

8. 平成17年度日本獣医師会獣医学術奨励賞(学術賞・功労賞)の選考結果の件
 大森専務理事から,12月9日,本会会議室で開催した獣医学術奨励賞選考委員会で,選考要領,選考申し合わせに基づき,小動物,産業動物,公衆衛生の各分野ごとに本年度の学術賞,功労賞の選考が行われ,各賞が決定されたことが報告された.

9. 公益法人制度改革等の件
 大森専務理事から,大要次のとおり説明された.
(1)公益法人制度改革(次期通常国会に法案提出の予定)
ア 基本方針
(ア)法人格の取得と公益性の判断を分離し,準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設
(イ)一般的な非営利法人のうち,一定の要件を満たすものを公益性を有する非営利法人として,第三者機関が判断する仕組みを創設(注)公益性の判断要件
[1]法人の目的:「積極的に不特定多数の利益の実現を図る」こと
[2]法人の事業:「公益事業の規模が全体の過半を占める」こと
[3]法人の規律:「公益性を有する法人としてふさわしい」こと
現行の「公益法人指導監督基準」への適応:同一親族等が理事に占める割合内部留保の妥当性,株式保有制限等
イ 非営利法人に対する課税のあり方の検討
(ア)公益性を有する非営利法人
 原則非課税.ただし,課税対象となる収益事業について,現在33種に限定列挙されている事業の範囲を拡大する.
 また,収益事業に適用されている軽減税率(22%)を営利法人の基本税率(30%)と同等の税率とすることを目指す.
(イ)一般的な非営利法人
原則課税.ただし,組織運営や事業活動の目的・内容等により課税のあり方を検討する.
(2)公益法人会計基準への移行
ア 主な改正事項
(ア)財務諸表の体系の見直し
正味財産増減計算書については,現行の原則ストック式からフロー式に統一.
(イ)財務情報の透明化として企業会計の手法を導入
a 減価償却については,現行の任意から強制
b 有価証券評価については,時価または償却原価により評価
c 退職給付引当については,原則,要支給額の100%計上
(ウ)公益法人の受託責任の明確化(正味財産の2区分化)
「正味財産=資産−負債」について,貸借対照表の正味財産の部で現行,味財産一本での表示から,指定正味財産(寄付者等の意思により使途が特定された正味財産)と[2]一般正味財産(法人の意思で使途を決めることができる正味財産)の2区分表示
(3)獣医師会の対応課題
ア 制度改革に伴い「公益性を有する非営利法人」として認定されるための当面の対応
(ア)公益法人指導監督基準に即した運営の確保
非収益事業と収益事業のバランスと公益事業の拡充等
(イ)積極的な情報開示
ホームページ開設等による財務・事業情報の積極的開示
(ウ)新会計基準の早期移行
他の公益法人の実施計画状況,公益法人としての活動状況,財務情報の透明
イ 新会計基準への移行準備
(ア)新会計基準対応の会計ソフトの導入
(イ)税理士等の会計経理専門家との対応協議
(ウ)新会計基準による事務処理の修得
10. 塩酸ケタミン製剤の件
(1)大森専務理事から,厚生労働省においてケタミンを麻薬指定とする方向でパブリックコメントが募集されたこと.仮にケタミンが麻薬指定された場合におけるケタミン製剤の取扱い等について説明が行われた.
 なお,本会の対応としては,地方獣医師会長へ構成獣医師への情報提供を依頼するとともに,厚生労働省へ臨床現場での混乱のないよう配慮されたい旨要請する一方,農林水産省へ指定後も安定して同剤が提供されるよう製薬会社への指導を,さらに製薬会社へも同剤の安定供給を依頼する予定であること.また,代替法については,今後,獣医麻酔外科学会等の見解を得て,情報提供に努めたいことが補足説明された(関係省庁等に対する要請内容は,本誌90頁参照).
(2)引き続き,大要以下のとおり質疑応答等が行われた.
ア A獣医師会では,薬事薬務課から本件についての説明を受け,施行にあたり6カ月を猶予期間とする予定である旨伺ったが,すでに数百のアンプルを買占めた者がいると仄聞している.これについては指導等の対応の必要がある.また,麻薬取扱免許等の事務手続は,担当課では膨大な作業となるため,獣医師会が取りまとめの窓口となるよう依頼された.
イ 卸業者では,麻薬指定により厳重な管理規制を受けることから,取扱いの中止が予想され,さらにこれを受け,製薬薬会社によっては,動物用製剤の製造を中止することも推察されるが,地方によっては,従来,動物医療販売卸業者が取扱っていない例も多く,動物用医薬品でなく,人用の医薬品として流通した方が現実的とも思われる.いづれにせよ,診療獣医師については,現状では麻薬製剤の取り扱いに不慣れな面が多々あることは否めない.本会は地方獣医師会を通じ,臨床獣医師への情報提供を行うべきである.
 これに対して,大森専務理事から,今後とも,厚生労働省及び農林水産省から情報を入手するとともに,診療獣医師をはじめ,関係者からの意見を踏まえた対応を厚生労働省等関係者に働きかけていきたい旨回答された.

 
11. そ の 他
 山根会長から,9月8日開催の第3回理事会において説明した高度医療センター構想の件について,本計画は日本獣医師会が組織として取組むものではないとした上で,その後の経過等について大要次の報告が行われ,さらなる理解を求めたい旨説明がなされた.[1]計画推進については,地区大会,地区会長会議をはじめ,関係団体等にも出向き,説明を行ってきた.[2]地方獣医師会長をはじめ,関係者においては,まだ心配される点もあるやに聞くが,一方で誹謗中傷に始まり,考えもつかないようなデマが飛び交っているのも事実.[3]会長の立場,大学人の立場,また計画を推進する立場で,今後とも努力し,説明責任を果していきたい.
 続いて,中川副会長から,本件については,関東地区獣医師会連合会(東京都獣医師会を含む)会長会議において,山根会長から説明を求め,種々意見交換を行ったが,関東地区獣医師会連合会としては,今回の高度医療センター計画を含め,会長を支えていくことで意識統一を図った旨が報告された.

 

【議決事項】
賛助会員入会の件
 大森専務理事から,前回の理事会以降,個人賛助会員2名について入会の承認が求められた後,了承された.

【協議事項】
世界獣医学協会地区代表評議員推薦対応の件
 大森専務理事から,本年7月の世界獣医学会での役員改選の際,東アジア・オセアニア地区代表評議員の推薦が行われず,欠員となっていたが,このたびWVA副会長Dr. チャンから山根会長を同地区評議員に推薦したい旨の私信が会長あてに届けられた.本会からWVA役員,評議員への就任については,これまで理事会において報告したとおり,会費算定のあり方等,WVAの財務運営等について疑義があり,積極的に対応していない現状であるが,今回,本件の対応について理事会において協議したい旨説明がなされ,続いて,山根会長から,今回の話は会費問題等の対応をめぐる,これまでの経緯を考慮し,評議員への推薦は辞退する旨回答したいことが説明された後,執行部一任の声をもって,了承された.

【連絡事項】
今後の主要会議等の開催計画の件
 大森専務理事から,平成18年1月から6月までの主要会議の開催予定が報告された.

 

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