1987年以前は,レプトスピラは病原性のL. interrogansと非病原性のL. biflexaの2種に大別され,さらには免疫学的性状に基づき30余の血清群(serogroup),さらにはその血清群内では250以上の血清型(serovar)に分類されていた[5,
6].一方,近年全ゲノムのハイブリダイゼーションによる分子生物学的分類法が導入され,その結果13遺伝種と種名がない4遺伝群に分類されるに至った[4, 20, 27](Leptospira Molecular
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Leptospira/Leptospira.html,表1).しかし,予防ワクチン,あるいは血清診断は血清型特異的であるため,流行血清型を考慮しなくては実施不可能であることから,今日でも血清型分類は広く利用されている.一方,250余存在する血清型の同定は容易ではなく,さらには遺伝種分類と血清型分類は必ずしも一致せず,ひとつの血清群,あるいは血清型が複数の遺伝種にまたがることもあり混乱の原因となっている(表1).また,病原性,ならびに非病原性レプトスピラを総称して,それぞれL.
interrogans sensu lato(広い意味での),L. biflexa sensu latoと称し,それぞれの種を指すときはL. interrogans sensu
stricto(狭い意味での),L. biflexa sensu strictoと使い分ける.