公益社団法人日本獣医師会

  • 日本獣医師会とは
  • 獣医師のみなさま

ウクライナ避難民の飼育犬に対する支援について(国民の皆様、愛犬オーナーの皆様)

掲載日:2022年04月28日

国民の皆様、愛犬オーナーの皆様へ

     ウクライナ避難民の飼育犬に対する支援について

 このたびロシアの侵攻を受けて来日した避難民の飼育犬について、狂犬病予防法に基づく係留を動物検疫所外で行うことが予定されており、4人のウクライナからの避難民の方が5頭の飼育犬を同行し、動物検疫所において検査等のために係留中と伺っています。
 今回の措置については、国民の皆様から日本獣医師会に対して、狂犬病の侵入を懸念するご意見や、ウクライナ避難民への支援の要請等、賛否両論のご意見が多数寄せられています。
 これらのご意見に対して、日本獣医師会としては次のように考えています。
 飼育犬に対する動物検疫の要件は、
 ① マイクロチップによる個体識別が可能であること
 ② 狂犬病ワクチンを2回以上接種していること
 ③ 抗体価が事前に測定されており 0.5IU/ml(国際基準に定められている抗体価)以上であること
 ④ これらの要件がウクライナ動物衛生当局により確認され検疫証明書が交付されていること
です。当然のことですが、④の要件は満たされておりません。
 このため、最長 180日間の犬の検疫期間について、犬等の輸出入検疫規則第4条第5項に基づき、災害救助犬等と同様に期間中の健康観察、報告等を条件に、動物検疫所外で係留を行うことを認める予定とされています。
 この措置については、
 ① マイクロチップが装着され個体確認がなされたこと
 ② ワクチン接種を2回行っていること
 ③ 抗体検査を行って 0.5IU/ml 以上であることを確認すること
を条件としており、今回の5頭の飼育犬についてはこれらの条件をすべて満たしていることから、いずれも狂犬病に感染している可能性は極めて低いものと判断されます。

 この措置に伴い、当該避難民の犬が飼育される予定の都道府県の地方獣医師会及び会員構成獣医師は、これらの避難犬の健康相談や診療対応の支援をいたします。

 今回のウクライナ避難民の飼育動物に対する支援を通じて、獣医師会組織としては、以下のとおり積極的に取り組みます。
・ 獣医療の提供等によりウクライナ避難民の飼育動物の健康管理に寄与します
・ 狂犬病の侵入を懸念する国民の皆様の安心感の醸成に貢献します
・ 狂犬病予防法に基づく登録やワクチン接種等の意義・必要性について専門的立場から説明します
・ ワンヘルス実践活動*の一環とします

*「ワンヘルス」とは人の健康、動物の健康、環境の保全のためには、三者の全てを欠かすことができないという認識に立ち、それぞれの関係者が“One for All, All for One”の考え方に基づいて緊密な協力関係を構築して活動し、課題の解決を図って行こうとする理念です。

 国民の皆様、愛犬オーナーの皆様におかれましては、本件に関する日本獣医師会の活動に対し、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

          令和4年4月28日

                公益社団法人 日本獣医師会