公益社団法人日本獣医師会

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人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言の発表

掲載日:2021年01月15日
「ワンヘルス」とは人の健康,動物の健康,環境の保全のためには,三者の全てを欠かすことができないという認識に立ち、それぞれの関係者が“One for All, All for One”の考え方に基づいて緊密な協力関係を構築して活動し、課題の解決を図って行こうとする理念です。

2012年10月、世界獣医師会(WVA)と世界医師会(WMA)は、グローバルヘルスの向上のため、ワンヘルスの理念の下で獣医師と医師が協力しあうことを目的として覚書を取り交わし、我が国においては、2013年11月、日本獣医師会と日本医師会との間で学術協力の推進に関する協定書が締結されました。その後全国において地域の獣医師会と医師会の間で協定書が締結され、全国的なワンヘルスの実践・協力体制が構築されています。

2015年5月、WVAとWMAは、人と動物の健康と環境の保全に関する関係者の連携と情報共有を図るため、第1回WVA-WMA Global Conference on One Health(GCOH)をスペイン・マドリードにおいて開催し、その成功を受けて、2016年11月に医師・獣医師の連携活動の成功モデルである日本獣医師会・日本医師会をホストとする第2回GCOHが福岡県北九州市で開催されました。

このようにワンヘルスの理念に対する評価と期待が世界的に高まる一方、エボラ出血熱、SARS、MERS、新型インフルエンザ等の人と動物の共通感染症や薬剤耐性菌等、ワンヘルスの理念に基づく対応が不可欠な課題が人類の脅威となっています。私たちの生活にこれまでにない多大なる影響を及ぼした新型コロナウイルス感染症もコウモリに由来する人と動物の共通感染症とされており、その原因究明及び有効な対策を講じるためにも、また、今後における新興・再興感染症の発生・流行を未然に防止するためにも、ワンヘルスの理念に基づく危機管理体制の整備を図ることは喫緊の課題となっています。

このような状況の中でこの度、人と動物の医療、公衆衛生、環境保全に係る12団体が「人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言」を発表しました。

日本獣医師会は共同宣言の呼びかけ人として、ワンヘルスの理念に基づいて他の関係団体と力を集結し、本共同宣言の内容を体現しながら、人の健康、動物の健康、自然環境の保全に貢献して参ります。
人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言