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日医・日獣による「新型コロナウイルス感染症禍を踏まえた「ワンヘルス」の実践に関する共同声明」

掲載日:2020年05月27日
日医・日獣による「新型コロナウイルス感染症禍を踏まえた「ワンヘルス」の実践に関する共同声明」 
 令和2年5月22日、本会と日本医師会は「新型コロナウイルス感染症禍を踏まえた「ワンヘルス」の実践に関する共同声明」を公表いたしました。
 人の健康、動物の健康、環境の保全の三つの分野の関係者が一体となり、連携して対応する概念が「ワンヘルス」であり、近年、世界で普及しています。パンデミックが心配される感染症の多くが人と動物の共通感染症といわれる中、医師と獣医師の連携活動の重要性はますます高まっています。
今後とも日本獣医師会は日本医師会と連携し、「ワンヘルス」の実践に取り組んでまいります。


〇新型コロナウイルス感染症禍を踏まえた「ワンヘルス」の実践に関する共同声明
 新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界にまん延し、パンデミックとして人類を恐怖に陥れています。我が国においても急激に感染者数が増加したことから、政府は、本年4月7日に東京都はじめ7都道府県を対象に緊急事態宣言を発令し、更に4月16日にはその対象を全都道府県に拡大しました。
 この感染者の急増に鑑み、日本医師会は政府の緊急事態宣言に先んじる4月1日に医療危機的状況宣言を発出し、崩壊の危機にある医療現場の窮状を国民に訴えました。更にその悪影響は、国民が待望していた東京オリンピック・パラリンピックの開催延期など、日本国民はもとより世界人類の日常生活、経済活動をはじめ広範な分野に及び、今後も長期間にわたり継続することが懸念されています。
 本感染症は、人から人への感染ばかりでなく、人から猫などの愛玩動物にも感染が見られる動物由来の人獣共通感染症とされています。同様に、近年話題となったエボラ出血熱、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、新型インフルエンザ、狂犬病、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)等の新興・再興感染症はいずれも動物由来の人獣共通感染症であり、その予防やまん延防止のためには人の医療と動物の医療の両側からのアプローチが必要とされています。
 このような中で、世界では人の健康、動物の健康、環境の保全の三つの分野の関係者が一体となり、連携して対応する「ワンヘルス」の概念が普及しています。日本医師会と日本獣医師会はこのような状況を踏まえ、2013年11月に「ワンヘルスに基づく学術協力の推進に関する協定書」を締結したことを契機に、全国の医師会と獣医師会が同様の協定書を締結し、全国的なワンヘルスの実践体制が構築されました。また、2016年11月には「第二回世界獣医師会ー世界医師会ワンヘルスに関する国際会議」を福岡県で開催して、世界におけるワンヘルス活動の実践の礎となる「福岡宣言」を採択しました。
 日本医師会と日本獣医師会は、今回の新型コロナウイルス感染症の防疫活動においても、医療資材の提供等を通じた連携・協力により、早期収束に向けて最大限の努力を傾注して参ります。更に、本感染症の経験及び度重なる動物由来の新興・再興感染症による世界的なパンデミックの歴史に学び、将来におけるパンデミックの再発を阻止するワンヘルスの実践活動を強化し、人と動物の両者の健康に係る課題の解決に向けて努力を重ねて参ります。
 国民の皆様には、皆様の生活を支える医師と獣医師の活動に対し、今後一層のご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

令和2年5月22日

 公益社団法人 日本医師会
   会長 横倉 義武

 公益社団法人 日本獣医師会
   会長 藏内 勇夫