[ はじめに ]

 畜産の振興を図るためには、家畜衛生、特に家畜の伝染性疾病の発生を予防し、まん延を防止することが重要です。近年、わが国の畜産は急速な経営規模の拡大を通じて、飛躍的な生産性の向上が達成されてきましたが、その一方でひとたび家畜伝染性疾病が発生すると、その被害は甚大となり、わが国の畜産に重大な影響を及ぼすことが懸念されています。
 そうした矢先に、わが国では平成12年3月から5月にかけて実に92年振りに口蹄疫が宮崎県及び北海道で相次いで発生し、さらに、平成13年9月以降、わが国では初めて牛海綿状脳症(BSE;俗名:狂牛病)に感染した乳牛が千葉県、北海道および群馬県で相次いで発見されるなど、家畜の病気は国を超えて広がり、かつ人にも感染する危険性がいっそう大きくなっています。したがってわが国における家畜防疫体制の一層の充実、強化が国民の重大関心事になっております。
 このため、日本獣医師会では農林水産省の指導の下に、日本中央競馬会の資金を財源とする財団法人全国競馬・畜産振興会の助成を受けて、監視伝染病等の早期発見・隔離・診断や適切な初動防疫への対応等、診療獣医師が簡便かつ迅速に活用できるような「監視伝染病診断指針:豚・いのしし編」を作製し、さらに養豚家に対しても迅速かつ容易に活用できるようなこれら疾病の早期発見についてのホームページを作製いたしました。本ページが有効に活用され、わが国の家畜防疫及び畜産振興に一層寄与されることを願ってやみません。

平成13年11月

社団法人 日本獣医師会