本病は、コクシジウムのオーシストの経口感染によって伝播し、下痢(血便)を示す伝染病です。
 コクシジウムは中間宿主をとらず、オーシストの経口感染によってのみ動物に伝播します。本病は世界中でみられます。野外における発生は、本来オーシストの胞子形成が容易な高温多湿時に多く、集約育成場や放牧場で集団発生することがあります。
 下痢、血便、粘血便などの腸炎症状が主で、成牛や哺乳中の子牛は、発症しにくいといわれています。軽度の発熱、食欲廃絶、下痢、衰弱、臀部の汚れなどがみられ、重症例では、激しい粘血便の下痢、裏急後重、疝痛症状を示します。特に衰弱の顕著な症例では、肛門筋が麻痺し、脱肛を起こすこともあります。
 本病の予防として、血便をする牛がいたら直ちに隔離し、適切に糞便の処理を行い蔓延を防止し、発生牛舎は、消毒によりオーシストを死滅させます。重症例の治療には、サルファ剤のほかに止瀉剤の投与および輸液栄養剤の投与など対症療法を併用することで回復を早めることができます。