本症は、皮下に腫瘤の形成を示す伝染病です。
 発生には季節的な差や、年齢、系統および地域的な差はみられません。和牛に多発の傾向がありますが、和牛以外の牛にも発生が増加しています。発生は散発的ですが、集団発生もみられます。飼料として粗剛な茎・枝や尖鋭な種子・モミガラなどを給与すると、口腔内にキズができ、そこから原因菌が侵入すると考えられています。病変部には多量の菌塊が存在し、飲水、飼料などが汚染し、同居牛への感染源となります。
 通常、頭頸部の皮下、あるいはリンパ節、口唇・口腔に腫瘤を形成します。腫瘤が破れると、粘りのある膿汁を排泄します。軟部組織、特に下顎皮下、頬、咽頭、舌、肩周辺の皮下、頭部リンパ節、肺に好発し、感染はリンパ流を介して広がります。舌の病変は木舌(もくぜつ:舌が腫れて硬くなり、口から突出し、可動性を欠く)として知られ、著明な流涎および嚥下困難を呈します。
 原因菌は、口腔粘膜や体表皮膚から感染するので、損傷させる可能性があるもの、すなわち粗剛な飼料給与を控えたり、除去します。感染牛は感染源となるので隔離して、消毒します。病巣の外科的切除後にヨード剤の塗布および抗生物質投与は有効です。