本症は、頻尿、血尿、排尿困難を呈する伝染病です。
 世界的に発生があり、わが国でもホルスタイン雌牛に発生が多くみられます。妊娠や分娩が誘因になることが多く、発生は散発的ですが、発生すると常在化の傾向がみられるため、過去に本症の発生があった農家からの導入牛は注意が必要です。原因菌は、腟から尿道を経由して膀胱内に侵入・増殖し、出血性膀胱炎を起こし、ついで尿管炎、腎盂腎炎を起こします。
 頻尿と血尿が特徴的な症状であり、尿中に多量の沈殿物を含みます。初期には突然の血尿、排尿後の努責を認めるにすぎず、一般状態は正常です(膀胱炎の時期)。経過が進むと尿中に粘膜上皮を混じ、頻尿、時に排尿困難となります。さらに経過が進むと、膿汁の排泄、発熱、貧血がみられます。
 一度畜舎で本症が発生すると、原因菌の環境汚染により、毎年発病牛が続出することがあり、確実な予防法はありません。しかし、患畜の早期摘発・隔離・消毒や、分娩時には清潔な敷料を用い、腟および外尿道口の汚染に注意し、厳重に消毒することが必要です。初期に大量の抗生物質投与を続けると効果が認められますが、慢性化すると治療効果は乏しいといわれています。