本症は、呼吸器系の異常、泌尿・生殖器系の異常、ふらつきなどの歩様の異常および神経症状を呈する伝染病です。
 複数の牛が神経症状および呼吸器症状を呈し、甚急性・急性伝染病(数時間〜十数日)で、急死または高致死率を示す場合に本症を疑います。各地で集団飼育牛の発生が報告されています。輸送や飼養環境の急変などのストレス、ウイルス性呼吸器病との混合感染が発症の誘因となります。
 原因菌が全身の組織や臓器を冒し、特に脳では髄膜脳炎(伝染性血栓栓塞性髄膜脳炎)を起こして重度の脳障害を生じると死亡率が高くなり、発病後2日程度で急死する例が多くみられます。発病初期は40℃以上の発熱があり、元気消失などの一般症状の悪化がみられます。中期になると体を強直させ、運動失調や跛行、後躯蹌踉、発熱を示し、やがて麻痺により片側性に横臥し、後弓反張、痙攣などを呈します。末期には起立不能となり死亡します。
 導入時の輸送前のワクチン投与や、必要に応じてビタミン剤や抗生物質を投与することにより、効果的に予防可能です。発症例は予後不良で治療の対象になりませんが、初期に抗生剤を注射することにより効果がみられることがあります。