本症は、幼牛の散発的な発生や搾乳牛に集団発生し、出血性下痢、鼻腔、口腔、肛門などの天然孔からの出血などにより急死または高致死率を示す伝染病です。
 幼牛の散発的な発生が多いといわれていますが、成牛にも発生し、搾乳牛の集団発生もあります。肥育牛においては、肥育末期に多くみられ、寒冷、湿潤などの気象的ストレスあるいは飼料の急変が感染の引き金となります。経過が早いため、臨床症状をみることが少なく、多くの場合、死亡してから発見されます。そのため、他に認められる原因がなく、出血性下痢による急死例は本症を疑うことになります。
 発症は突発的で、初期には元気がなくなり、歩くのを嫌い、苦悶、疝痛、不安症状などがみられます。末期には血便、出血性下痢、呼吸困難などを示して死亡します。
 予防には、飼料の急変あるいは異常な高蛋白飼料の給与に伴った牛の腸管機能の低下を避けることが重要ですが、ほとんどの場合、症状がみられずに急死するため、有効な予防・治療法はありません。発生が確認されれば、下痢のみられる同居牛に対し、アンピシリンなどの感受性のある抗生物質を投与します。