本病は、新生子牛や成牛の消化器系の異常を示す伝染病で、泌乳牛では泌乳量の大幅な低下をきたし、経済的な被害が大きいのが特徴です。
 世界各国に分布していますが、わが国では1977年に静岡県で成牛の伝染性下痢症例から初めてウイルスが分離されました。新生子牛の下痢の原因として報告されているほか、成牛の冬季赤痢の主な原因としても知られています。下痢便や鼻汁を介した経口・経鼻感染により伝播します。本病は冬季に多発し、日中と夜間の温度差によるストレスが病状をさらに悪化させます。成牛の流行例は、主として舎飼いの乳用牛の間で発生します。
 主要症状は、子牛および成牛の下痢や脱水です。子牛では、1〜2日の潜伏期間を経て、突然軽い発熱、元気消失、灰白色の下痢便を排泄します。成牛では、3〜7日の潜伏期間の後、褐色の水様性下痢がみられます。牛コロナウイルス単独感染では、下痢便はほとんど悪臭をともなわず、時に血液を混じることがあります。泌乳牛では、泌乳量の大幅な低下をきたします。
 最近、牛コロナウイルス病不活化ワクチンが開発され、市販されていますので、接種することが有用です。また、子牛では、カウハッチの使用による水平伝播の抑制および初乳の十分な投与による免疫付与が有効であり、また脱水症状の改善を図る目的で補液や細菌の二次感染を抑えるために抗生物質を使用します。