本症は、呼吸器の異常、一過性の発熱や流産も引き起こすウイルス病です。
 世界各国に分布していますが、わが国では1958年に初めてウイルスが分離されました。年間を通じて、各地で発生します。長距離輸送や放牧、集団飼育に際して多発するので、輸送熱とも呼ばれています。接触感染や咳に含まれるウイルスによる飛沫感染により伝播します。
 呼吸器症状と発熱で、発熱、元気・食欲消失とともに、鼻汁、咳などの呼吸器症状を呈し、まれに流産、乳房炎がみられます。そのほかのウイルスや細菌との混合感染により症状が悪化し、重症例では、肺炎にまで進行します。
 牛伝染性鼻気管炎、牛ウイルス性下痢・粘膜病との3種混合生ワクチンのほかに、牛RSウイルス病を加えた4種混合、さらに、牛アデノウイルス病を加えた5種混合生ワクチンの接種による予防が重要です。しばしば、パスツレラなどの細菌やマイコプラズマとの混合感染による症状の重篤化がみられるので、抗生物質投与による細菌感染の抑制が有効です。