本症は、泌尿・生殖器系の異常、特に流産を主徴とする届出伝染病です。
 ネオスポラ(原虫の一種)に感染した犬の糞便中に感染力を持つオーシストが排泄され、これを飼料とともに摂取して発症します。流産は年間を通して発生しますが、通常は散発性ないしは単発性です。なお、年々流産が多発したり、年々流産頭数が増加する傾向もみられます。一般に流産胎子の胎齢は3〜9ヵ月(平均5.6ヵ月)です。母牛については、流産以外の症状は認められませんが、同一家系で何世代にもわたり流産がみられたり、一度感染して流産した牛は、再度流産を起こしやすいといわれています。
 流産と新生子牛の異常が主要な症状で、母牛は異常を示しません。新生子牛の異常は、神経症状が主体ですが、虚弱や体型異常、起立困難などもみられることもあります。
 予防・治療法は確立されていませんが、主な対策は以下の通りです。終宿主となる犬を牛と接触させない。流産や異常産が続発した場合、獣医師による確定診断を行う。流産胎子や死体、胎盤などは、犬が摂取する可能性があるため処理を適切に行う。抗体陽性牛を淘汰し、後継牛の作出には十分注意を要する。