本病は、心臓・血管・血液などの循環器系の異常、発熱(回帰熱)、貧血を主徴とする届出伝染病・海外伝染病です。
 熱帯と亜熱帯地域に多発し、わが国での発生はありません。トリパノソーマは、主にツェツェバエなどの胃内で増殖後唾液腺に集まり、吸血時に唾液と一緒に動物体内に侵入して感染が成立します。牛に病原性を示すトリパノソーマは3種類あります。
 特徴は回帰性の発熱(回帰熱)であり、1〜4週間の潜伏期間後に12日間隔で高熱が2〜3日間続きます。この発熱を3〜4回繰り返した後には30日前後の長期間の高熱期があり、強度の貧血および全身の高度な消耗を呈します。
 ワクチンは開発されていないため予防法はありませんが、ツェツェバエの撲滅やトリパノソーマに強い耐性牛の改良が行なわれています。治療には、薬剤療法のほかに造血剤投与、十分な飼料給与と休養が必要です。