本症は、急死または高致死率を呈し、運動器系の異常、捻髪音をともなう浮腫や腫瘤、毒血症を示す、急性熱性の届出伝染病で、土壌病の一つです。
 本症の原因菌は世界中の土壌や健康動物の腸管にも存在するので、世界的に発生が認められています。わが国では北海道、東北、関東地方に多くみられます。4ヵ月〜2歳齢牛の発症例が多く、創傷部位、あるいは消化管損傷部から感染しますが、消化管損傷部からの感染が主体と考えられています。潜伏期間は1〜5日です。
 突然の高熱と振戦、元気消失、食欲廃絶、呼吸困難、頻脈、跛行や歩様異常などの運動器系の異常を示します。肩部、臀部、四肢などに腫瘤が認められます。腫瘤は初期には熱感と疼痛をともないますが、壊死に陥り、無痛性で、捻髪音を伴う浮腫として触知されます。ほとんどの症例は発症後1〜2日で死亡します。本症は甚急性・急性に経過するため、生前診断は困難なことが多いです。
 不活化ワクチン接種による予防が行われています。飼育環境の消毒、改善も本症の発生予防に有効です。また、抗生物質(ペニシリン)の大量投与も感染初期には試みられていますが、あまり有効ではありません。