本症は、呼吸器の異常、消化器系の異常、神経症状などを呈し、敗血症死する届出伝染病・海外伝染病で、人獣共通感染症です。
 土壌や水あるいはほこりを主な感染源として、経皮、経気道あるいは経口感染が起こります。創傷や強いストレスがある場合は感染しやすいとされていて、感染動物からの直接伝播はまれです。東南アジアと北部オーストラリアが多発地域で、わが国では動物での発生例はありません。
 臨床症状および経過はさまざまで、不顕性感染例も多くあります。典型的な急性例では、発熱と食欲不振がみられたあと、しばしば中枢神経障害の症状を呈しながら敗血症死します。また、慢性例では食欲減退と元気消失が認められ、次第に削痩することが多くなります。他の症状としては、膿瘍、運動障害、咳や膿様鼻汁の排出などの呼吸器系の異常、下痢や異常便などの消化器系の異常、疝痛、乳房炎、関節炎などが報告されています。膿瘍は全身に形成されますが、肺、鼻腔、脾臓、肝臓、腎臓によく生じます。
 有効なワクチンはありません。わが国は本症の清浄国であることから、その予防には汚染地域から導入される動物の輸入検疫が最も重要です。本症は、治療を行ってもその後の再発や再排菌を完全に防止することは困難で、原因菌が土壌に定着すれば継続的な発生を許すことになります。したがって患畜は殺処分して焼却し、汚染土壌および環境材料は十分な消毒を行います。