本病は、アナプラズマが赤血球内に寄生して生じる貧血、黄疸を主徴とし、呼吸器系の異常などを示す法定伝染病です。
 ダニ、アブ、サシバエ、蚊などの吸血昆虫が媒介する放牧病の一つです。また、輸血や汚染された注射器、去勢器具、除角器などによっても伝播されます。幼牛よりも成牛で感受性が高く、発症後2〜3日で死亡することもあります。初感染の死亡率は20〜50%とされています。潜伏期間は20〜40日です。
 40〜42℃の発熱、貧血、黄疸などのほか、呼吸器系の異常である呼吸困難や呼吸促迫、流涙、流涎、鼻汁などが認められます。また、脱水症状や便秘、循環器系の異常、心悸亢進などもみられます。慢性経過をとるものは貧血と黄疸が持続し、徐々に削痩します。
 本病に対する完全な予防法はありませんが、媒介ダニの駆除が重要です。また、放牧初期のストレス軽減を目的とした予備放牧も重要です。治療法としてはクロルテトラサイクリンが有効ですが、感染のピークを過ぎると効果は低下します。輸血は貧血の改善にきわめて有効です。