本病は、慢性で頑固な下痢、削痩を示す法定伝染病で、細菌性法定伝染病のうち最も被害の大きな疾病です。
 本菌は発症牛の糞便中に、発病数ヵ月前から多量に排泄され、糞便またはこれに汚染された乳汁や飲料水によって経口感染します。妊娠や分娩などのストレスが本病の発病誘因になると考えられています。新生子牛は感染しやすく、成牛での感染率は低くなります。発症は3〜5歳齢で、分娩後1ヵ月以内に認められることが多く、泌乳量の低下を示します。発病率は5〜10%で、感染牛であっても無症状で経過するものが多くみられます。発病牛は一般に数ヵ月から1年で衰弱死します。
 間歇性の難治性泥状・水様性の下痢、急激な削痩、泌乳停止が認められ、栄養状態は悪化します。重症例では下顎の浮腫が認められることもあります。
 本病に対する有効なワクチンならびに治療法はありません。牛舎の徹底した消毒と、定期的な検査を実施し、感染牛、保菌牛の早期摘発と淘汰が重要です。特に、感染牛の子牛は保菌の可能性が高いので淘汰しなければなりません。