本病は、肺やリンパ節などに結節性の病変や体表リンパ節の腫大を示す法定伝染病で、近年、増加の傾向にある人獣共通感染症です。
 感染牛の気管分泌物、唾液、乳汁、糞便などに結核菌は排泄されます。感染はこれら汚染された敷わら、飼料などから経気道あるいは経口的に成立し、肉牛に集団発生が認められています。防疫対策として行われるツベルクリン反応の陽性牛の淘汰により乳用牛での発生はまれですが、規制対象外である肉牛に集団発生が認められています。
 肺や顎下、耳下、横隔膜、乳腺などのリンパ節に黄白色、結節性、限局性の結核病巣であるチーズ様の乾酪化病巣をつくります。この病巣は、結核結節と呼ばれる本病に特徴的な病変です。重症例では、咳嗽、食欲不振、体重減少、削痩、乳量低下などの症状を示します。
 乳用牛ではツベルクリン反応に基づいて、陽性牛の隔離や陽性確定牛の淘汰により清浄化が図られています。肉用牛ではと畜場で結核牛と確定された場合はその同居牛についてツベルクリン検査を行い、牛舎環境の消毒や清浄化などの予防対策を実施します。有効な治療法はありません。