本症は、急死または高致死率を示し、発熱、呼吸困難、流涙、流涎、広範囲な充出血などを呈する法定伝染病・海外伝染病です。
 わが国での発生の報告はありません。病原菌は乾燥、日光に対する抵抗性が弱く、空気中では長期間生存できません。流行地では高率に健康保菌牛が存在します。伝播は発症牛、あるいは本菌で汚染された牧草、敷わら、床などに接触するか、汚染された川や池などの水を飲水して起こります。感染は経気道および経口によります。患畜の大部分は死亡し、若齢牛の死亡率は高いのですが、成牛群における流行は7〜10日で終息します。
 本症は甚急性では突然死しますが、通常は急性で、発熱、元気消失、反芻停止がみられます。その他、流涎、流涙、粘液状鼻汁などがみられます。また、下顎、頸部あるいは肩前部の腫脹がみられ、咳、呼吸促迫、呼吸困難、横臥姿勢をとります。ついで、体温が下降し、数時間から2日で死亡します。
 ワクチン接種は本症の予防に有効ですが、わが国ではワクチンを使用せず、輸入検疫の徹底が図られています。本症は甚急性または急性経過をとるので、適切な治療法はありません。