本症は、細菌が持続的または断続的に血中に流入し、全身症状、特に高熱、脾腫などがみられる疾患である急性敗血症を呈する法定伝染病で、人獣共通感染症です。
 炭疽菌は芽胞の状態で土壌中に長期間生存するため、代表的な土壌病の原因菌です。感染経路は、主に創傷面からの経皮感染および経口感染で、わが国での発生は年間10頭程度と比較的まれです。発生率は夏期に増加する傾向があります。潜伏期間は1〜5日です。常在地である土壌中の芽胞は数十年以上生存するため、汚染土壌との関連から、本症の発生には常在地である地域性が認められています。
 突然の発熱(41〜42℃)を特徴とし、鼻腔、口腔、肛門などの天然孔から出血し、その血液は固まらず、皮下の水腫がみられ、感染率は低いものの死亡率がきわめて高い伝染病です。
 生ワクチンによる予防が実施されています。発病が認められた場合には、死体、乳汁、敷わら、牛舎などの処理は、「家畜伝染病予防法」に記述された方法で行われます。本菌は芽胞菌です。消毒には、高圧蒸気滅菌、塩素剤、ヨード剤などが用いられます。本症が疑われたり、発症牛と同一の牛舎に飼養されている牛には予防的措置として、ペニシリンやストレプトマイシンの大量投与を行います。