本症は、呼吸器系の異常を示し、若齢牛が感染した場合は発病率100%で、重度な肺炎を生じて死亡率も高くなる法定伝染病・海外伝染病です。
 感染は病原体を含む鼻汁との接触や咳による飛沫を介した経気道感染が主体です。本症の感染力は口蹄疫や牛疫に比べて弱く、急激に広がることはありません。潜伏期間は牛の感受性に左右されますが、通常は10〜14日で、長いものでは3〜6ヵ月に及ぶものもあります。本症の清浄地域の若齢牛が感染した場合は、発病率が100%で致死率も高いのですが、常在地の成牛が感染すると不顕性感染を起こし、保菌牛となって汚染源となります。1941年以降、わが国での発生はありません。
 急性期には41℃以上の高熱、倦怠感、食欲不振、反芻停止、水様性もしくは粘稠性の鼻汁、激しい咳が認められます。慢性に移行すると、さらに呼吸が困難となって、腹式呼吸を生じ、削痩します。末期になると重篤な呼吸困難を呈して死亡します。
 流行地であるアフリカにおいては、生ワクチンの接種で予防効果をあげています。わが国では、本症が発生した場合、「海外悪性伝染病予防要領」に従い、患畜の早期発見、早期淘汰によって撲滅を図りますが、本症を侵入させない検疫体制を保つことが最大の予防法です。