本症は、発熱、沈うつ、出血性の激しい下痢、口腔の粘膜に丘疹や水疱などを主な症状として、急死することが多く、死亡率の高い法定伝染病・海外伝染病です。
 感染源は、罹患牛との接触、またはウイルスに汚染された飼料や水、さらに敷わらなどです。また、豚の牛疫が牛への感染源になると考えられています。感染してから、症状が出現するまでの期間(潜伏期間)は4〜9日です。症状は前駆期、粘膜期、下痢期に分けられます。世界的には、ワクチンの開発・普及によって本症の発生は減少しており、わが国では1925年以降の発生はありません。
 前駆期では、突然の発熱(41〜42℃)が2〜3日続き、食欲減退、沈うつなどの症状のほか、特徴的な眼瞼腫脹、結膜充血がみられます。粘膜期では、舌、唇、歯齦などの粘膜に水疱・丘疹・び爛が生じますが、鼻および腟粘膜にも認められます。この時、大量の流涎、鼻汁および流涙がみられます。下痢期では、体温が下降し、暗褐色の激しい出血性下痢をします。この下痢によって牛は脱水、起立不能となり、体温がさがると数時間後に死亡します。
 本病の清浄国であるわが国では、ワクチンを使用せず、汚染国からの動物や畜産物の輸入禁止または制限を行い、牛疫ウイルスの侵入を防止しています。また、国は万一の発生に備えて、ワクチンを備蓄しています。