馬鼻肺炎(届出)
概要
 本症は、ウマヘルペスウイルス1型あるいは4型感染によって引き起こされます。発熱、鼻漏、顎下リンパ節の腫大などを呈する呼吸器疾患、歩様異常、起立不能、尿失禁などを呈する神経麻痺および妊娠馬の流産の総称であり、届出伝染病に指定されています。
主な原因
 ウマヘルペスウイルス4型による呼吸器疾患の流行は、若齢馬の群内で季節に関係なく発生します。ウマヘルペスウイルス1型による流産は、胎齢9ヵ月以降の妊娠馬に好発しますが、わが国ではウマヘルペスウイルス1型による神経麻痺の症例の発生はまれです。
主な症状
 若齢馬および競走馬では呼吸器症状、妊娠馬では流産がみられ、成馬が感染・発症した場合は、解熱後に神経麻痺を示すことがあります。
 潜伏期は24〜48時間で、39.0〜40.5℃の発熱と水様性、後に膿様性に変わる鼻漏がみられます。その後、顎下リンパ節の腫大もみられます。再感染例では、不顕性感染に終わることが多いです。流産は、胎齢9ヵ月以降の妊娠馬に突発的に発生し、前駆症状はみられません。流産が発生した場合、水平伝播により2〜3週間後に同居の妊娠馬に流産が続発することがあります。また、生後数日以内に死亡する虚弱子馬を分娩することもあります。神経麻痺は解熱後にみられ、歩様異常、起立不能、尿失禁および顔面神経麻痺などの症状を示します。
主な予防法
 ウマヘルペスウイルス1型に対する不活化ワクチンが市販されています。治療法はないため、二次感染の予防に努めます。