鼻疽(法定・海外)
概要
 本症は人獣共通感染症ですが、主として馬科動物の伝染病であり、原因は鼻疽菌です。症状は、急性型では、発熱、膿様鼻汁、鼻腔粘膜の結節・潰瘍、肺炎、皮下リンパ管の念珠状結節・膿瘍・潰瘍などがみられ、慢性型では、微熱を繰り返し徐々にやせてきます。わが国での発生はなく、法定伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 本症は鼻疽菌の感染により起こります。感染動物の鼻汁や膿に含まれる菌が馬同士の接触により直接、もしくは環境材料に付着して間接的に感染します。侵入門戸は、経口、経気道、創傷部位などさまざまです。主に馬科動物に感染しますが、感染した馬肉を食べた肉食動物および感染馬や培養菌を扱った人の感染例も報告されています。なお、わが国では戦前に中国などから持ち帰った馬での発生例が記録されていますが、近年はありません。
主な症状
 症状は、急性型では、高熱と食欲不振、膿様鼻汁、鼻腔粘膜の結節・潰瘍、肺炎症状などがみられます。また、皮下リンパ管の念珠状結節・膿瘍・潰瘍などがみられることもあり、これを皮膚型鼻疽と呼びます。慢性型では、微熱と膿様鼻汁を繰り返しながら、徐々にやせてきます。ロバ、ラバおよび清浄地の馬に感染が起こると、数日以内に死亡します。慢性型は疾病常在地の馬でしばしばみられます。
主な予防法
 有効なワクチンはありません。わが国は本症の清浄国であることから、その予防には汚染地域から導入される動物の輸入検疫が最も重要です。鼻疽菌は人には非常に危険な細菌ですので、その取り扱いには十分な注意が必要です。患畜は殺処分して焼却し、本菌に汚染された可能性のある環境および器材は十分に消毒します。