伝染性無乳症(届出・海外)
概要
 本症は、マイコプラズマによるめん羊、山羊などの小反芻獣の感染症で、無乳症を主徴とするほか、関節炎や角結膜炎を併発します。世界各地に分布し、常在地では高い感染率を示します。届出伝染病・海外伝染病に指定されています。めん羊や山羊飼養者にとっては大きな経済的被害をもたらします。
主な原因
 本症の原因はマイコプラズマです。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニアなど世界各国で本症の発生がみられ、特に地中海地域で多発しています。
 不顕性感染動物の群内への導入により、接触感染や乳汁を介して感染は拡大し、母畜から胎子への感染もみられます。致死率は、成畜では0〜20%です。幼若山羊では致死率は高く90%以上になることもあります。
主な症状
 病勢は、一般に病原体の種類、動物種および年齢により異なりますが、泌乳動物の乳房炎が主な症状で、乳量減少から無乳症に至ります。乳房は硬化し、腫瘍を形成します。乳房付属リンパ節は腫大します。時として敗血症に至り,死亡することもあります。敗血症死を免れた動物では関節炎や角結膜炎が続発します。妊娠動物では時として流産や下痢もみられます。しかし、常在地ではこれら症状は明瞭ではなく、乳房病変、関節病変および眼病変が同時にみられるわけではありません。時として症状の認められない場合もあります。山羊の散発的な発生例では、これらの症状が観察されずに肺炎症状のみを示す場合もあります。
主な予防法
 不活化ワクチンが利用されていますが、弱毒生菌ワクチンは現在使用されていません。
 治療としてはテトラサイクリン系、マクロライド系などの抗生物質が有効です。