羊痘(届出・海外)
概要
 本症は、紅斑発疹を特徴とする致死性の高いウイルス性急性伝染病で、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。口蹄疫、ブルータングおよび小反芻獣疫とならんで、めん羊産業にとって重要な伝染病です。
主な原因
 本症の原因は羊痘ウイルスです。このウイルスと山羊痘ウイルスとは非常に近縁で、同じ種の異なる株が羊痘あるいは山羊痘を引き起こしています。
 わが国での発生はありません。重症型では子羊の致死率は50〜80%です。本症は感染めん羊との接触により感染しますが、特に汚染物を含んだ空気を介しての気道からの感染が主な伝播経路です。
主な症状
 発症めん羊は、40℃以上に発熱し、皮膚全体に発疹、鼻孔部の腫脹、流涙、鼻汁、結膜炎、眼瞼炎、呼吸困難などがみられ、高い死亡率を示します。本症の潜伏期間は8〜13日で、発症めん羊は無毛部の鼻、目、口、乳房、鼠径部および包皮などに発疹がみられます。
主な予防法
 わが国のような清浄国では、汚染国から家畜および畜産物の輸入を制限して侵入を防ぎます。汚染国では生ワクチンを使用しています。羊痘を疑う疾病を発見したときは「海外悪性伝染病防疫要領」に従って対応します。治療法はありません。