小反芻獣疫(届出・海外)
概要
 本症は、小反芻獣疫ウイルスの感染による山羊およびめん羊の急性伝染病で、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。症状は牛における牛疫に似ており、山羊およびめん羊は感染すると、沈うつ、発熱、流涙、鼻汁、口部潰瘍、下痢、肺炎などを呈し、20〜90%と高い死亡率を示します。
主な原因
 本症の原因は小反芻獣疫ウイルスで、目・鼻・口からの分泌物および下痢便中には多量のウイルスが含まれます。主な伝播様式は接触感染です。潜伏期は通常4〜5日、時に2〜10日に及びます。本症は清浄地域に侵入すると甚大な被害を与えますが、常在地では散発的で、幼若な動物における発生がみられる程度です。
主な症状
 初期には40〜41℃の発熱が2〜3日間続き、沈うつ、食欲不振、目・鼻・口から多量の透明水様の分泌物がみられ、多くの場合、目の下の頬に涙の跡が付着します。また、結膜炎を呈し、目やにが付着します。鼻汁は次第に粘稠となり、鼻孔にこびりつきます。
 発熱後1〜2日目より口部に病変がみられます。粘膜は充血し、初めに下顎粘膜の壊死がみられ、重篤例では、歯槽、上顎、頬内側、口腔の乳嘴突起および舌にも壊死が及びます。また、ほとんどの感染動物が、発熱後2〜3日目より下痢を呈し、血液が便に混じることもあります。急速に脱水し、やせてくるため、急性例では発熱後3〜7日目に死亡します。また、牛疫に感染した山羊およびめん羊にはみられない特徴的症状として、口部周辺の痂皮形成や、感染後期におこる肺炎があげられます。回復した場合は病原ウイルスを保有する動物にはなりません。
主な予防法
 治療法はありません。常在国ではワクチンが使用されています。日本では市販されていません。わが国のような清浄国では侵入防止が最も重要であり、発生した場合には、法規に従い患畜の摘発・淘汰により蔓延防止が図られます。