出血性敗血症(法定・海外)
概要
 本症は、パスツレラ菌の感染によって起こる敗血症性急性伝染病で、経過が速く高い致死率を示します。発熱、一般症状の悪化、流涎、呼吸困難、下顎の腫大などがみられ、発症後数時間から2日で急死します。法定伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 原因菌の血清型は主にBおよびE型ですが、英国ではB型菌によるダマジカの急性敗血症例が発生しました。また、米国でもヘラジカやエダヅノカモシカの類似症例からB型菌が分離されています。自然感染めん羊・山羊からこれらの血清型の菌が分離されますが、山羊のB型菌に対する感受性は低く、発症した水牛と同居させても臨床的には正常で、保菌状態にもならず、抗体も産生されません。また、実験的に大量の菌を種々の経路で接種しても約10%が感染するだけであるともいわれています。
主な症状
 甚急性の場合は、特徴的な症状を示すことなく急死します。通常は急性例で、40〜42℃の発熱、元気消失、食欲減退などの一般症状の悪化、流涎、流涙、鼻汁排出などの症状がみられ、次いで下顎や頸側、まれに胸前や前肢が腫大し、発咳、呼吸促迫、呼吸困難などを示し、発症後数時間から2日で死亡します。
主な予防法
 ワクチンはありません。また、急性経過をとるので、薬剤投与しても治療効果は期待できません。輸入家畜に対する検疫が重要です。