ノゼマ病(届出)
概要
 本病は、ミツバチノゼマ原虫の感染によって起こる成蜂の消化管疾患ですが、わが国での発生実態は明確ではありません。1997年に届出伝染病に指定され、1998年に家畜保健衛生所で確定診断された症例が報告されました。
主な原因
 罹患した蜂の糞中に排泄されたミツバチノゼマ原虫の胞子に汚染された貯蜜が感染源となります。蜂の腸管内に侵入した本原虫の胞子が発芽し、次いで中腸上皮に侵入して増殖し、多量の胞子を形成します。胞子は巣箱内を汚染した乾燥排泄物中で、数ヵ月にわたり生存することがあります。本病は春と秋に発生が多くなります。
主な症状
 感染した蜂は糞詰まりの状態を呈し、腹部膨満、飛翔不能となり、巣門周辺を徘徊します。また、感染群では下痢による巣箱の異常な汚れがみられます。感染した蜂は寿命が短縮し、かつ感染群では卵の孵化率が低く、群の弱小化の主要な原因となります。
主な予防法
 わが国では認可された有効薬剤はありません。蜂群の栄養管理のほか、巣箱の換気をよく保ち、低温、高湿度、日射などの蜂場の環境管理に注意し、群をより強勢に保つことが重要です。また、感染の拡大を引き起こす盗蜂を防止するなどの飼養管理とともに、越冬期の疾病蔓延を防ぐため、器具や資材の消毒など基本的衛生管理を徹底することも重要です。