健康及び安全の保持
 給餌及び給水

犬やねこの食事は、何をどのくらい与えたらよいのでしょうか。人問と全く同じではありません。健康を保つために大切な、正しい食事とその与え方などについて述べてみましょう。

  1. 犬やねこの食事
  2. 食事の与え方
  3. 水の与え方
  4. 特殊な給餌、給水法
犬やねこの食事

 可愛い犬、ねこを家族の一員として健康に育てるためには、栄養上正しい食事を与えることが大切です。正しい食事とは、犬・ねこが必要とする栄養素をバランスよく含んだ食べ物を、毎日規則正しく与えることです。
 犬・ねこに接していると、人間の食事と同じものを与えがちですが、これは大変な問違いです。もともと犬やねこは肉食性の動物で、雑食性の人間とは消化器官の構造や生埋に違いがあり、必要とする栄養素の内容や量にも根本的な差があります。犬やねこは永年人間と生活をしているうちに雑食にならされ、現在では人間の食べ物ならほとんど何でも食べるようになりました。しかし、犬やねこは自分でえさを探すことができません。それだけに、食事を与える飼い主の責任は重大です。
 犬やねこは肉食獣だからということで、肉や魚(あるいは肉中心の食事)ばかり与える人がいますが、これは栄養学的に問題があります。野生時代の犬やねこは、獲物の肉だけでなく、内臓や胃や腸の中の半消化物まで、栄養バランスがとれた形で食べていたわけで、われわれが食べる肉だけを食べていたのではありません。
  1. 偏食にならないよう、させないように
    食事の必要成分、栄養に大切なものとして
    たんばく質(肉類、卵、チーズ、牛乳など)
    炭水化物(米麦飯、パン、うどん、マカロニなど)
    ミネラル(無機塩類、特にカルシウム、骨その他)
    ビタミン(各種食品に含まれるA〜E他多種)
    があります。
    単一の食品でこれらすべてを満たすものはないわけですから、適当に組み合わせてバランスのとれた与え方が大切です。とくに発育期、妊娠中、哺乳期、病気のときなど注意してやりたいものです。いつも残飯にみそ汁で放りっぱなしや、その逆に手を変え品をかえての食事の強要や、好きなものだけに偏りすぎる盲愛についても反省する点はないでしょうか。

  2. 味付けは、ごく薄く、甘いもの辛いものはあげないように
    人間並の味付けをした食事が続くと変調をきたします。その3/1以下ぐらいの塩加減が適当と思ってください。肉や魚を与えるときは塩、コショウその他味付けの必要はありません。砂糖菓子、あんこ類などはやらないことです。骨格や歯を悪くするだけでなく病気の誘因となります。
  3. ペットフードの利用
     犬・ねこの栄養学・生理学を基礎として、最新の食品加工技術によって作られ、総合栄養と明示されたペットフードには、たんぱく質・脂肪・ビタミン・ミネラルなど犬やねこが必要とするすべての栄養素がバランスよく含まれるように工夫されています。
     ベットフードに対する認識が高まり、利用者も多くなっていますが、欧米における普及率と比較しますとまだ大きな差があります。欧米では、栄養知識の普及率と経済性の両面から、子犬、子ねこの時からベットフードで育てる人が多く、80%以上の普及率となっています。
    ア.ペットフードの種類
    1)ドライタイプ
    水分が10%程度のもので、高圧で加熱、押出し加工された固形状のものをいいます。価格が安く経済的で、保存性に優れています。
    2)セミモイストタイプ
    水分が25〜35%程度のものでハンバーガー(ひき肉)状のものです。水分を比較的多く含みながら、保存性がよいように工夫されています。柔らかいので子犬や子ねこ、老犬、老猫でも食べやすくなっています。
    3)ウェットタイプ
    水分が70%程度以上のもので缶詰やレトルトが該当します。肉や魚を原料とした全肉タイプと、それに植物性原料やビタミン、ミネラル類を加えたレーションタイプがあります。
    以上の分類の他に、人工乳、離乳食、幼犬用、小型犬用、あるいは活動犬用などの対象による分類、またメンテナンス(体力維持、日常食)、サプリメント(栄養補給、強化食)、スナック(おやつ、ごほうび)などの栄養的内容による分類もあります。
    イ. ペットフードの選び方
     犬・ねこの成長過程に応じて人工乳、離乳食、一般食(幼犬用、成犬用、ねこ用)などのうち適当なものを選ぶとよいでしょう。
     次にドライフード、セミモイスト、缶詰のうち何を選ぶかですが、最も大切なことは総合栄養のフードを主食として選ぶことです。
    総合栄養のフードだけを与えるのが原則で、それに全肉タイプのフード、あるいはごはんや魚、肉類を加える場合には、総合栄養フードの25%以内にとどめた方が栄養のバランスをくずさない良い方法です。

食事の与え方

  1. 量と回数のめやす
    ア. 乳児期(生後4週位まで)
     乳のよく出る母親にめぐまれた犬やねこのこどもたちは、乳首に吸いついて飲んでは寝ての繰返しで順調に育ってゆきます。親にはこどもの分まで十分に栄養と水分を与えることが大切です。
    人工哺乳だけで育てるときは、2〜4時間毎に与え、母乳が足りなくて補うときは状況によって、朝晩2回位、専用の哺乳ビン、スポイトなどで調乳を満腹するまで飲ませます。
    イ. 離乳期(生後5週〜8週位まで)
     ぼつぼつ親の食器に首をつっこんで、なめ始めたりします。牛乳、半熟卯、生のひき肉、おまじりなどの食べぶりや便の状態をにらみ合わせながら1日に4〜6回、4時間置きぐらいの間隔で与えます。離乳用のペットフードも市販されていますから、それを利用すると良いでしょう。
    ウ.幼児期(生後2〜4カ月位)
     消化のよいバランスのとれた高カロリーの食事をお腹をこわさない程度に十分与えます。また骨の発育を促進させるための配慮が必要です。幼犬用、発育期用のペットフードも市販されています。1日に3〜4回、喜んでいっきに食べて、残さない程度が適量で、頭の大きさ位が一応のめやすです。
    エ.未成年期(発育期)(生後5カ月〜10カ月位)
     からだのできる大事な時期です。とくに丈夫な骨格のもとになるカルシウムの不足にならないよう丸ごと食べられる小魚類、にぼし、獣骨などを与える必要があります。ただし、タイ、タラなど堅い骨や鶏の骨は避けた方が無難です。煮出して骨のスープをえさにかけてやるのはよいことです。食事の回数は1日2〜3回です。
    オ.成年期〜壮年期(l〜7年位)
     からだの大きさもきまり以後の充実と維持の時期、また繁殖期にも入ります。犬の場合、大型、小型、愛玩犬、作業犬などいろいろですが、食事は原則として1日2回与えます。夏などは晩1回の方が調子のよいこともあります。
     妊娠中の母親は、少なくとも2回、お腹がめだって大きくなる頃は平常の2倍くらいのカロリーが必要ですが、胃袋も圧迫されてくるので、一度にたくさんやるよりは3〜4回に分けてやってください。哺乳中の母親や作業犬などは、やはり十分食べさせるべきです。
    カ.老年期(8〜15年)
     7〜8才を過ぎると、犬やねこではぼつぼつ衰えが出はじめる頃にさしかかり、10年以上なら長生きの部類に入ります。歯もすりへったり、ぐらぐらして抜けてきたり、眼も“ひとみ”の奥が白濁してくる(白内障)のを見かけます。したがって食事もあまり硬いもの、不消化のものは避け、回数は1日1〜2回とし、肥りすぎ、痩せぎすのないように加滅して、いたわってあげましょう。

  2. さて、あなたの愛犬・愛猫に最もふさわしい方法は?
     喜んでいっきに食べ、空の食器をなめ廻し、やればもう少しは食べるなと思われる程度が適量です。要は、発育や肉付き、食欲、それに便の状態などをにらみ合わせて増減し、あなたの愛犬・愛猫に適合するやり方を検討していただきたいのです。
     一日に何回、何時ごろに食べさせるかを、あなたの家庭の事情と愛犬(ねこ)の状況を勘案して決めます。そのリズムをできるだけ乱さないようきめた時聞にきめられた量の食事を与えるようにしましょう。食べ残したときは、そのまま置き放しにしないで、いったん引き上げてください。
    やたらに間食や甘いお菓子をやったり、口移しに食べさせたり、食卓に上って人間の食べものに手を出したりしないよう行儀よくしつけたいものです。

水の与え方

 水はいつでも欲しいときに飲めるように、きれいな水を一定の所に準備しておいてやりましょう。
水を忘れたり与えないのは動物虐待につながります。しかし、異常にがぶ飲みする場合は注意してください。食事が塩辛すぎる、胃腸の調子が悪い、腎臓病、糖尿病その他の疾病などが考えられます。

特殊な給餌・給水法

 十分な量の乾燥フードと水を常備して、いつでも食べられ、飲めるようにしておく手のかからない方法で馴らすことも可能ですが、一般家庭ではあまりおすすめできません。