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地方会だより

福岡県における公務員獣医師の人材確保に向けた処遇改善

藏内勇夫 (日本獣医師会副会長・福岡県獣医師会会長)

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 近年,食の安全確保や人と動物の共通感染症対策が喫緊の課題となっている.
 このような中で,食品衛生,動物衛生の担い手の中心である公務員獣医師の果たす役割は,国民生活の安全の観点から,これまでにも増して重要になってきている.
 これに対応した,福岡県における最近の獣医師職員をめぐる動きを紹介する.

 1 県獣医師の処遇改善
 獣医師の役割が重要となり社会的期待が高まる一方で,獣医師の地域間,職域間の偏在のため,公務員獣医師の確保が各地域で課題となりつつあり,その処遇改善が必要であると考える.
 このため,平成19年12月,日本獣医師会は,全国知事会長である麻生福岡県知事に対し,公務員獣医師の人材確保に向けた処遇改善の要請を行った.また,日本獣医師会の呼びかけにより,全国各地の地方獣医師会からは,それぞれの知事部局や議会等に要請活動を行ってきた.
 公務員獣医師の不足が課題とされる中で,獣医師会からの要請を受け,いくつかの都道府県において,公務員獣医師の処遇改善措置が図られてきているが,福岡県の人事委員会は,今年度,独自に民間事業所の獣医師職員の初任給調査を実施し,その結果を踏まえ,県獣医師の初任給調整手当について,平成21年4月から現行の上限1万3千円を2万5千円に引き上げ,併せてその支給期間を5年間から10年間に延長するよう勧告を行った.
 この勧告を受け,県は給与条例の改正案を12月県議会に提案し,改善することとなった.獣医師の初任給調整手当の改善は,12年ぶりのことである.

 2 「食の安全総合調整監」の設置
 食の安全の問題は,国民の関心も高く重要な課題であり,私が会長を務める自民党県議団は,県議会の本会議や委員会で繰返しこの問題を取上げてきた.
 この食の安全に関する行政は,生産から流通,消費まで幅広く,関係法令や対象領域も多岐にわたることから,所轄する部局も複数にまたがる.食に関わる健康被害や食品偽装の疑いがある事案が発生した場合には,関係する部局が相互に連携して対応する必要がある.
 このため,福岡県では,迅速かつ一元的な情報収集や解析,関係部署への情報提供,調査の要請を行うなど,機動的な連携,調整を指揮する「食の安全総合調整監」を平成20年4月から設置し,このポストに獣医師を充てている.先般の残留農薬やカビによる事故米穀の不正流通事件では,迅速な回収命令,流通ルートの解明を精力的に行うなど,総合調整監を中心に効果的な対応が行われた.



福岡県「食の安全総合調整監」大隈 巧氏,
西日本新聞に紹介される
 福岡県に新設された「食の安全総合調整監」の大隈 巧氏(福岡県獣医師会会員獣医師)が,平成20年12月24日西日本新聞朝刊に紹介された.紹介記事においては,最近の農薬混入,産地偽装等食の安全に係る事件の発生と消費者意識の変化について説明し,これらの不正に対する県の対応等について
大隈氏が解説する内容となっている.
 なお,記事中では,大隈氏は1971年日本大学農獣医学部卒,現ポストに初代で就任したことが紹介されている.
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† 連絡責任者: 藏内勇夫(日本獣医師会)
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