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短 報

ロムスチンが有効であった犬の心基部にみられた
組織球性肉腫の1例

荻原直樹   浅野和之   関真美子   枝村一弥   山谷吉樹
高橋朋子   鈴木和彦   田中茂男

日本大学生物資源科学部(〒252-8510 藤沢市亀井野1866)

2007年2月26日受付・2008年3月19日受理

要   約

 10歳齢,避妊済み雌のゴールデンレトリーバーが約1カ月前のX線検査において胸腔内に腫瘤様陰影像が認められ,その後,発咳,嘔吐などの臨床症状を発現したため,本院を紹介来院した.第39病日に試験的開胸術による生検を行い,組織球性肉腫(HS)と診断した.3週間ごとにロムスチン(CCNU)40mg/m2を経口投与したところ,臨床症状の改善と明らかな腫瘍陰影の縮小が確認された.第569日に斃死するまでの間,計17回のロムスチンの投与を行ったが重篤な副作用は見られず,腫瘍は縮小したまま転移も認められなかった.以上の所見から犬のHSに対してロムスチンは有効である可能性が示唆された.
―キーワード:犬,組織球性肉腫,ロムスチン.

------------------------------日獣会誌 61,795〜799(2008)




† 連絡責任者: 浅野和之(日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室)
〒252-8510 藤沢市亀井野1866
TEL 0466-84-3373
E-mail : kazasano@brs.nihon-u.ac.jp