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行政・獣医事

動物用医薬品副作用症例報告
(平成17年7,8月分)

薬事法第77条4の2に基づく動物用医薬品副作用症例報告を次のとおり掲載する.


医 薬 品 の 名 称
(製造(輸入)業者名)

副 作 用 発 現 動 物

副 作 用 等 発 現 の 概 要 及 び 転 帰
メタカム0.5%注射液

ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパン(株)

製造番号:S20808-B

種 類


年齢等

投与前の健康状態

疾患等

関連医薬品の投与歴等

投与量

投与法

投与
年月日
併用薬 副作用発現年月日
(投与後時間)

副作用等の
種類

講じた
処置

転帰

ゴールデン・レトリーバー
6歳 左後肢関節疼痛 なし 0.2mg/
kg
皮下投与
(適用外使用)
平成17年
2月17日
なし 平成17年
2月17日〜
2月25日
流涎,眼振,ふるえ
平成17年2月2日にパイオメトラ手術後,左後肢関節痛を示したため,平成17年2月10日〜14日にリマダイルを投与したところ,振せん,流涎といった神経症状を発現したためその後休薬.疼痛が持続したため,平成17年2月17日にメタカム0.5%注射液を投与したところ,流涎,眼振,ふるえといった神経症状を示した.
プレドニゾロン,
メトクロプラミド,
ラニチジン,
エンロフロキサシン,
アンピシリン,
スクラルファート,
アモキシリン
死亡
《企業の意見及び対応》
  • 担当獣医師 : 本剤との因果関係が疑われる.
  • 企    業 : 今回のような症状はメタカムで知られている毒性プロファイルと一致しない.神経症状はメタカムは0.5%注射液の前に投与されていた他の非ステロイド系鎮痛消炎剤投与でも起きていたため,本症例は非ステロイド系鎮痛消炎剤に対し敏感に反応すると思われる.だが,剖検等の調査が行われていないため本症例の死亡原因としてメタカム0.5%注射液の影響があったとは考え難い.しかし,今後,同様の事例の情報収集,調査分析に努め,必要があれば適切な対応を行うこととしたい.
セラクタール2%注射液

バイエルメディカル(株)

製造番号:不明

ダックスフンド
6歳 健康   0.03ml/kg
静脈内注射
(適用外使用)
平成15年
8月22日
ケタラール 平成15年
8月22日
昏  睡
呼吸困難
呼吸停止
治療 回復

《企業の意見及び対応》

  • 担当獣医師 :声帯手術の場合,強い鎮静が必要なので静脈注射したため呼吸停止が起こった.
  • 企    業 : ケタラールとの併用事例であるとともに本来は筋肉内または皮下投与で使用する当該薬剤を静脈注射という用法外の投薬方法で使用し,発現した有害事象であるために当該薬との因果関係は明らかでなく,同時に関連性を完全に否定することはできない.
  • 対    応:今後とも当該薬剤の用法・用量の厳守を呼びかけてゆく所存である.

家畜衛生週報(No.2903,2913)より