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資 料

家畜衛生研修会(病性鑑定病理部門,2006)*†
における事例記録 ( II )

Proceedings of the Slide-Seminar Held by the Livestock Sanitation Study Group in 2006 Part II *†

(2007年8月22日受付・2007年10月31日受理)

5 鶏の頬部皮下にみられたPasteurella gallinarumおよびEnterococcus faeciumによる化膿性肉芽腫
〔矢野敦史(香川県)〕
 ジュリア種,雌,540日齢,鑑定殺例.採卵鶏1万羽を飼養する農家で,2006年5月上旬から,毎日10羽前後が斃死し,産卵率が50%まで低下した.この頃から頬部および眼瞼の腫脹が目立ち,鶏群全体が元気消失しはじめた.5月中旬に立入検査を行った際,左右どちらかの頬部に膿瘍様病変を有する鶏が数十羽みられたため,病性鑑定を実施した.

6 牛の壊死性血管炎がみられた大脳皮質壊死
〔津波 修(沖縄県)〕
 黒毛和種,雄,9カ月齢,鑑定殺例.繁殖母牛40頭規模の繁殖農家で,育成牛1頭が2006年4月11日より気管支音粗励と高度の鼻汁漏出を呈した.症状は治療後に回復したが,5月6日より起立困難と歩行異常を呈したため,5月12日に鑑定殺された.

7 豚の大腸菌による化膿性側脳室炎・髄膜炎
〔庄山剛史(三重県)〕
交雑種,雄,29日齢,鑑定殺例.種豚160頭規模の一貫経営養豚場において,2006年2月頃から離乳子豚群に,ふるえ,起立不能および横臥を呈して死亡する疾病が発生した.群内の死亡率は約10%であった.本症例は鑑定殺された4頭中の1頭である.

8 イノブタの大脳における脳水腫および血管周囲の好酸性滴状物を伴う血管のフィブリノイド変性
〔亀山 衛(兵庫県)〕
 イノブタ(交雑種),30日齢,去勢,鑑定殺例.イノブタ1,700頭を飼育する繁殖肥育一貫経営農場において,2005年7月頃から同腹子豚で離乳後3〜7日後に眼瞼浮腫,元気消失,旋回運動等の神経症状を呈する死亡例が増加した.同農場では下痢症および浮腫病対策として,消毒の徹底,大腸菌ワクチンの接種,離乳子豚に抗生物質の投与を行っていたが発生の低下が見られず,2006年4月に5頭の病性鑑定を実施した.なお,5頭中3頭は鑑定殺例であり,本症例はそのうちの1頭である.

9 神経細胞体内にポリグルコサン小体を多数認めた牛の間脳
〔及川俊徳(宮城県)〕
 ホルスタイン種,3歳8カ月齢,雌,乳用,鑑定殺例.搾乳牛約80頭飼養の酪農家で,平成18年4月頃から食欲不振あるいは突然起立不能を呈する症例が4頭続いた.3頭は予後不良で淘汰されたが,4頭目は原因究明のために病性鑑定に供された.臨床症状では,突然起立不能を呈し,犬座姿勢,沈鬱状態で刺激に対する反応の減弱が観察された.前肢を伸張する動作がよく見られ,左後肢下腿部表面に痙攣が確認された.

10 豚の小動脈平滑筋細胞の壊死を伴う視床に限局した壊死
〔油井 武(埼玉県)〕
 LWD種,肥育豚,39日齢,鑑定殺例.母豚75頭規模の一貫経営農場において,2006年6月,離乳後1週間の肥育豚25頭のうち3頭が四肢振戦など神経症状を呈した.本症例はそのうちの1頭である.

11 牛の小脳ヘルニア
〔野口浩和(和歌山県)〕
 黒毛和種,雄,3日齢,死亡例.繁殖雌牛12頭の子牛生産農場において,2005年10月1日に生まれた子牛(早産)が,哺乳はできたが,起立不能で頸を支えることができず,10月4日に死亡した.母牛は異常産3種混合ワクチンを接種済みであった.

12 牛の腰髄における急性壊死性灰白質脊髄炎
〔平井伸明(岡山県)〕
 黒毛和種,雌,23日齢,鑑定殺例.黒毛和種繁殖牛2頭を飼養する農家において,2005年4月18日生まれの子牛が,5月10日朝に突発性の後肢および尾の麻痺を呈した.また寛骨,仙骨付近に軋轢音が聞かれた.発症前日まで本症例は正常に起立,歩行していたが,後躯麻痺の回復がみられないため,翌日に鑑定殺された.母牛は1994年生まれで8産目,異常産ワクチンの接種歴はなかったが,異常子牛を出産した経歴はなかった.

13 ハトのTetrameres fissispinaの寄生による漿液カタル性腺胃炎
〔中村 博(東京都)〕
 ドバト(カワラバト),雌,年齢不明,死亡例.都内の公園において数十羽のドバトが死亡し,6羽が病性鑑定に搬入された.

14 牛の牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)によるパイエル板部粘膜に主座する陰窩ヘルニアと血管変性の顕著なカタル性壊死性回腸炎
〔水野恵子(岐阜県)〕
 ホルスタイン種,雌,5カ月齢,死亡例.一般症状の悪化と緑色水様下痢を呈した育成牛が,抗生物質等の治療に反応せず,1週間後に死亡した.本症例は3カ月齢での導入時に牛呼吸器病6種混合ワクチンが接種されていた.



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※詳しくは日本獣医師会雑誌Vol.61 No.7をご覧下さい。
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