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原 著

採卵鶏ひなのイオノフォア中毒による神経病変

渡邊 理1)*†   丸尾喜之1)   小倉裕司1)   亀山 衛2) 
三木隆広3)   中山卓也3)

1)兵庫県姫路家畜保健衛生所(〒670-0081 姫路市田寺東2-10-16)
2)兵庫県農林水産部(〒650-8567 神戸市中央区下山手通5-10-1)
3)兵庫県和田山家畜保健衛生所(〒669-5243 朝来市和田山町高田666)

(2007年9月10日受付・2007年12月5日受理)

要   約

 1995年8月,採卵鶏の幼すうが13日齢頃より食欲不振,発育不良,沈鬱,脚弱症状,視力障害を呈し約10%のひなが衰弱死した.発症鶏に肉眼病変はなかったが,病理組織学的検査で,視葉,延髄,脊髄,網膜などに空胞形成を認め,脚部の骨格筋にも軽度の筋変性を認めた.視葉および脊髄の電子顕微鏡観察で,髄鞘のミエリン層板の解離による大小不同の空胞形成を認めた.給与していた幼すう用飼料には,配合したサリノマイシン以外に,同時使用が禁止されているラサロシドが含まれていた.この飼料を実験的に採卵鶏の初生ひなに給与したところ,発症鶏と同様の臨床症状と組織学的病変が認められた.以上の成績から,本症例は2種類のイオノフォア(ポリエーテル系抗生物質)の関与した中毒症と診断した.製造工程で何らかの事故により,ブロイラー用のラサロシドが混入したものと考察した.
―キーワード:視力障害,イオノフォア中毒,採卵鶏,脚弱.

------------------------------日獣会誌 61,525〜529(2008)

 

† 連絡責任者: 渡邊 理(兵庫県姫路家畜保健衛生所)
〒670-0081 姫路市田寺東2-10-16
TEL 0792-94-1807 FAX 0792-94-0948
E-mail : osamu_watanabe@pref.hyogo.lg.jp
*現所属: 渡邊 理(兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター畜産部)
〒669-5254 朝来市和田山町安井123
TEL 079-674-1230 FAX 079-674-2211
E-mail : osamu_watanabe@pref.hyogo.lg.jp