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意見(獣医学系大学生の声)

獣  医  師  の  未  来

宮田遼平(帯広畜産大学畜産学部獣医学科5年)

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 「獣医師」という言葉を聞いて,何を思い浮かべるだろうか? 世間一般の人はまず小動物のお医者さんを思い浮かべるだろう.農業や畜産業に携わっている人は大動物の医者を思い浮かべるかもしれない.しかし,獣医師の役割はいまやこのような臨床獣医師のみにとどまってはいない.昨今のBSEや食品偽装などの食の問題が取りざたされる風潮の中で食の安全に対する意識が高まっており,保健所,検疫などにも獣医師は必要と評価されている.また,環境保全や野生動物保護の面でも獣医師は活躍している.高度な生物学の知識を持つ,という事で研究所や企業で研究開発を行う獣医師も多い.従って,獣医師とは浅いが実に広い知識を保ち,その活用を仕事とする職業である.かく言う私もまた,企業に進む予定の獣医師を目指している学徒の一人である.
 私はよく「獣医師なのに何故動物を診ないのか?」と問われる.確かに獣医学科においては臨床獣医師を志して入ってくる学生がほとんどであり,卒業後も臨床の現場に進むのが大多数だ.しかし,前述のように獣医師の活躍の場は多岐に渡っており,さらに広がっている.広がっているという事はそれだけ獣医師が必要とされているということだ.動物が関わり,食料が関わる現場には獣医師が必ず必要とされているといっても過言ではない.そんな中で前述のような質問が頻繁に起きるのは,獣医師のイメージが依然として臨床獣医師に偏っていることを暗示している.確かに臨床獣医師は非常に重要でやりがいのある仕事だろう.しかし,獣医師の他の仕事にももっと注目してもらいたい.医師や薬剤師などと同じように生物学を修めてきた獣医師が,一般に「獣医さん」と呼ばれる職業以外でも立派に活躍していることはあまり知られていない.
 食や環境が重視される時代の流れの中で,今後獣医師が賄うべき事はますます多様化していくだろう.その中で獣医師が正確に仕事を果たしていけるように,世間の獣医師に対する認識を少しずつ変えていかねばならない.多様な職場で働く獣医師が違和感なく世間から認識され,また受け容れられる事が獣医師の未来に有益なことでもあり,そして獣医師が活躍する現場に役立つことでもあると思う.獣医師が医師などと同様に6年間大学でしっかり学び,そこで積み上げた知識,知恵は必ずや社会の役にたつはずである.
 私もまた臨床に進まない獣医師の一人として,己の活躍の場で功績を上げ社会に貢献するとともに,その成果を示すことで以って獣医師の地位や認識の向上に貢献したいと願う者である.広い知識を人の健康と福祉に活かそうと試していることが誇りである.



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